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リ物基 基例16

まず作図をします。物体A,Bともに重力を作図し、それぞれ上向きの張力\(T\)を書き入れましょう。

次に加速度の向きを設定します。問題文に、物体Aを降下させて、と書いてあるので、物体Aの加速度を下向きに、物体Bの加速度を上向きに設定することにします。

 

(1)

物体Aの運動方程式は

 \(Ma=Mg-T\)

 

物体Bの運動方程式は

 \(ma=T-mg\)

 

なので、辺々を足して

 \(Ma+ma=Mg-mg\)

 \((M+m)a=(M-m)g\)

 \(a=\displaystyle \frac{(M-m)g}{M+m}\)

 

 

(2)

物体Bの運動方程式へ(1)の加速度を代入すると

 \(m・\displaystyle \frac{(M-m)g}{M+m}=T-mg\)

 

 \(T=m・\displaystyle \frac{(M-m)g}{M+m}+mg\)

 

 \(T=mg\left(\displaystyle \frac{M-m}{M+m}+1\right)\)

 

ここで、カッコの中の第2項の「1」を通分して

 \(T=mg\left( \displaystyle \frac{M-m}{M+m}+\frac{M+m}{M+m}\right)\)

 

 \(T=mg・\displaystyle\frac{(M-m+M+m)}{M+m}\)

 

 \(T=mg・\displaystyle\frac{2M}{M+m}\)

 \(T=\displaystyle\frac{2Mmg}{M+m}\)

 

 

(3)

滑車に注目すると、滑車を上向きに引く糸は1本で、下向きに引く糸は2本あることに気づきます。

ここから、

 \(S=2T\)

 \(S=\displaystyle\frac{4Mmg}{M+m}\)

となるので、(2)が求まりさえすればすぐに解答まで持っていくことができます。

 

 

(4)

ここまで求まってしまえば、物体Aに関する等加速度の問題に切り替えます。

物体Aは、単に高さ\(h\)から加速度\(a\)で落下する等加速度直線運動だととらえることができます。

 

等加速度運動の公式を思い出すと、

高さに関しての式は

 \(h=\displaystyle\frac{1}{2}at^2\)

 

速さに関しての式は

 \(v=at\)

 

です。これらに、さっき(1)で解いた加速度\(a\)を代入しましょう。

 

まずは高さに関する式から落下時刻を計算します。

 \(h=\displaystyle\frac{1}{2}at^2\)

 

 \(t^2=\displaystyle\frac{2h}{a}\)

 

(1)より

 \(a=\displaystyle \frac{(M-m)g}{M+m}\)

なので、

 

 \(t^2=\displaystyle \frac{M+m}{(M-m)g}・2h\)

 \(t=\displaystyle \sqrt {\frac{M+m}{(M-m)g}・2h}\)

 

 

続けて速さも求めてみます。

 \(v=at\)

(1)の加速度\(a\)と、今求めた時刻\(t\)をそれぞれ代入しましょう。

式計算は複雑ですが、原理としては単純なことをしています。

 

 \(v=\)\(a\)\(t\) より

 \(v=\)\(\displaystyle \frac{(M-m)g}{M+m}\)\(・\)\(\displaystyle\sqrt {\frac{M+m}{(M-m)g}・2h}\)

 \(v=\)\(\displaystyle \sqrt{ \frac{(M-m)^2g^2}{(M+m)^2} }\)\(・\)\(\displaystyle\sqrt {\frac{M+m}{(M-m)g}・2h}\)

 \(v=\displaystyle \sqrt{ \frac{(M-m)^2g^2}{(M+m)^2}・\frac{M+m}{(M-m)g}・2h}\)

 \(v=\displaystyle \sqrt{ \frac{2gh(M-m)}{M+m} }\)