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物基18 Newtonの法則

1687年,イングランドのNewtonは運動に関する3つの法則を提唱しました。

この法則のうち,2つは中学のうちに習っているはずです。それも含めて,3つの法則を見ていきましょう。

 

運動の第一法則

 

運動の第一法則(慣性の法則)

 物体系の外部から力を受けないか,受けていても合力が0の場合,静止している物体は静止し続け,運動している物体は等速直線運動を続ける。

 

 物体は,それまでの運動を続けようとする性質(慣性)を持ちます。この法則を丸々覚えようとすると大変なので,つまりどういうこと?という部分を強調するなら,「力を加えていないなら,速度は常に一定」ということを意味している法則です。

 

 速度が0であるなら,速度は0のまま。速度が何かしら値を持つなら,それと同じ値でずっと動き続けるわけなので等速運動,しかも力が加わらないなら物体は曲がることもないので,さらに直線運動でもあるわけですね。まとめて等速直線運動というわけです。

 

 

運動の第二法則

 

運動の第二法則(運動の法則)

 物体に生じる加速度\(a\)は,はたらく力(の合力)\(F\)に比例し,質量に反作用する。

 

 これが高校範囲で新たに出てくる3つ目のNewtonの法則です。3つの法則のうち,この法則だけ式があります。その関係なのかは分かりませんが,中学では習わずに高校に上がって初めて登場する法則ですね。

 

 法則の意味はいたって簡単。 「物体は,押したら動く」 それだけです。物体は,どうやら押したら動くらしいんです。ということが1687年になって初めて分かりました。皆さん知ってましたか?物体はね,押したら動くらしいんですよ。

 

 というのはさすがに1600年代の人を馬鹿にしすぎですね。実際は,それまでの時代では,ちょっと動く,早く動く,めっちゃ動く,のような違いでは説明ができていたようなんです。

 

 ちょうど現代科学でいう台風のように,強い台風,非常に強い台風,猛烈な台風,なんていう感じで分けて,「非常に強い」の中の弱い方とか強い方とか,そういう細かいところは気にしていなかったんですよ。

 

 Newtonはそれを数字で厳格に表して,具体的には加速度いくらで動く,と提唱したわけです。その部分に新規性があったわけですね。

運動の第三法則

 

運動の第三法則(作用・反作用の法則)

 物体\(A\)から物体\(B\)に力を作用させると,物体\(B\)から物体\(A\)に,

 Ⅰ 大きさが等しく

 Ⅱ 互いに逆向きで

 Ⅲ 同一作用線上  の反作用を受ける。

 

 

 ある物体から別の物体へ力を加えるとき、力を「作用させる」と言います。なので、力を矢印で表すときに、矢印のスタート地点を力の作用点と呼んでいるわけですね。

 

 一方で、物体に力を作用させると、必ず反対向きに力を受けます。これを「反作用を受ける」と言います。

 

 ここからしばらくの話題は力学に限定されていますので、作用・反作用の関係は、ほぼ接触力での話になります。つまり、ある物体が力を作用させたときに受ける反作用は、必ず2つの物体が接しているときに登場するということです。

 

 実際には遠隔力でも作用・反作用の法則は成立します。

 

 たとえばある磁石を置いておいて、その\(N\)極にゆっくりと別の\(N\)極を近づけると、あるときに反作用を受けて、置いてある磁石は反発して動いてしまいますね。こういう例もあるわけです。

 

作用・反作用の法則と、力のつりあい

作用・反作用の法則と、力のつりあいの条件は、どちらも2力が

 ・同じ大きさ

 ・互いに逆向き

 ・同一作用線上

である、となっています。

 

 図のように、天井から糸につながれたおもりがあります。

 

 ここには、図のような5つの力が働いていますが、どれとどれが「作用・反作用」の関係になっていて、どれとどれが「力のつりあい」の関係になっているか、分かりますか?

 

 

 まずは、これらの力を中学のときのように、「何が何を引く力」なのかということを書き出してみましょう。

 

 ① 天井 が 糸 を 引く力

 ② 糸 が 天井 を 引く力

 ③ 糸 が おもり を 引く力

 ④ おもり が 糸 を 引く力

 ⑤ 地球 が おもり を 引く力

 

となります。

 

このとき、「○が△を」引く力、と、言葉を入れ替えた「△が○を」引く力、というペアが作用・反作用の関係にあります。

つまり、①と②、③と④作用・反作用の関係になっています。

 

また、「△を」の部分が共通しているものが、力のつりあいの関係にあります。

つまり、①と④、③と⑤力のつりあいの関係になっています。