(1)
まず作図をします。この問題は摩擦がないので、重力だけ作図すればいいですね。 重力を作図したあとは、斜面方向と斜面に垂直な方向に力を分解しましょう。 このうち、使うのは斜面方向下向きの力だけです。
通常、斜面の問題が出てきたときには、変則的な設定がなされない限り、斜面下向きに重力\(mgsinθ\)がかかります。なので、一般的な問題で作図をするときは、鉛直下向きに\(mg\)を書くことがパターン化していると思いますが、斜面の問題が出てきたときは即座に斜面方向下向きに\(mgsinθ\)を書いてしまい、他の作図を省略するのも時間短縮のワザの一つです。
▼斜面方向下向きへかかる重力
\(mgsinθ\)
結局この問題では斜面方向下向きに\(mgsin30°\)、つまり\(\frac{1}{2}mg\)が作図されるだけですね。
で、作図が終わったら加速度の向きを決めます。斜面方向の上向きに進めるようなので、そちらを正にすることにします。
そして、運動方程式を立てましょう。
\(ma=-mgsin30°\)
\(ma=-\frac{1}{2}mg\)
∴
\(a=-\frac{1}{2}g=4.9m/s^2\)
斜面方向上向きを正としてマイナスの加速度が解答として得られたので、最終的な解答は、 斜面方向下向き\(4.9m/s^2\) となります。
(2)
運動方程式の最大の有効性は、加速度を求めた後に、等加速度の3公式に代入することで、いつ、どの場所で、どのくらいの速度なのかを全て予測することが可能な点です。
つまり、「運動方程式を解け」とは、「加速度を求めよ」、ということで、「運動方程式を解いたあとは、その加速度を等加速度3公式に代入しなさい」、ということになるわけです。
この問題では、最高点Pに到達するまでの時間がわかりませんので、3つ目の公式を使うのが最短解法ですね。
最高点で\(v=0\)、初速度は\(v_0=9.8\)なので、
\(v^2-v_0^2=2ax\) より
\(0-9.8^2=2×(-4.9)d\)
\(9.8^2=-9.8d\)
\(d=9.8[m]\)
となります。
この公式を忘れている場合は、少し手間が増えますが、\(v=v_0+at\)の式に代入して\(t\)を求めておいて、\(x=v_0t+\frac{1}{2}at^2\)の公式に代入する手もあります。