(1)
まず重力を作図しましょう。大きさは\(mg=5.0×9.8=49N\)です。
次に、力を分解します。重力を斜面下向きと、斜面に垂直な軸の下向きに力を分けましょう。すると、斜面下向きへの重力の大きさは\(mgsin30°\)で表すことができます。
斜面の問題が出てきたら、斜面下向きへの重力の分力はほぼ必ず扱うことになるので、いっそ初めから斜面問題のときの斜面下向きの重力の大きさは\(mgsinθ\)です、というのを公式として考える方が楽かもしれません。
▼斜面下向きにかかる重力
\(mgsinθ\)
さて、そういうわけで斜面下向きへの重力の大きさは
\(W=mgsin30°\)
\(W=5.0×9.8×\frac{1}{2}\)
\(W=24.5[N]\)
となります。
この時点で加速度の向きはわかりますね。斜面上向きに\(40N\)で引き上げていて、重力は\(24.5N\)で斜面下向きですので、斜面上向きの力が大きいため、加速度も斜面上向きにかかっていることになります。
次にその加速度の大きさを計算してみましょう。
斜面上向きに加速度の正の向きを設定して、
\(ma=F\) より
\(5.0a=40-24.5\)
\(5a=15.5\)
\(a=3.1\)
よって解答は 斜面上向きに\(3.1m/s^2\) となります。
(2)
今度は加速度は斜面下向きに\(1.9m/s^2\)に変わっています。
重力の大きさは変わらないので、斜面下向きにかかる重力の大きさも\(24.5N\)のままです。
斜面下向きを加速度の正として、張力の大きさを今度は\(T\)として、
\(ma=F\) より
\(5.0×1.9=24.5-T\)
\(9.5=24.5-T\)
\(T=24.5-9.5\)
\(T=15N\)
となります。
ここで少しややこしい話をします。混乱する人は読み飛ばしてください。
ある人が「最後の計算は引き算なので、有効数字を考えたら\(15.0N\)が正しいんじゃないですか」と尋ねてきました。 確かに、減算の有効数字はケタ数一致ではなく位一致のルールですので、この計算の場合だったら小数第一位に揃えて\(15.0\)とするのが正しそうに見えます。
ただ、\(24.5N\)の本来の中身は\(mgsin30°\)であって、\(m\)と\(g\)がともに有効数字2ケタなので(\(sinθ\)には有効数字ナシ)\(24.5N\)は、有効数字2ケタの意味を持つ値の途中段階ということになります。本来はすでに整数値になっているはずのものですので、整数-小数第一位の減算として解釈することで、解答を整数値にしています。 四捨五入を途中計算で行うと数値がどんどんずれていくので、あえて\(24.5N\)のままとしているわけです。 このややこしさを回避するために、リードの模範解答では途中段階で出てくる\(24.5\)を表記させないまま解答を完結させています。