速さ
単位時間あたりの移動距離のことを速さといいます。単位時間とは、ここでは1秒間のことだと思ってください。そのうち正確な言い方に触れる機会があるでしょう。
小学校のときにさんざん算数で悩んだ人も多いかもしれませんが、時間と距離との関係を表す式として、
「速さ=距離÷時間」
というものを習ったと思います。
\(\displaystyle\frac{き}{は|じ}\)
というスタイルでおなじみですね。高校ではこれを文字で表すことにします。
今まで距離としていたものを、\(x\)、速さを\(v\)、時間を\(t\)とします。
距離は、場所を表す座標として\(x\)にしています。速さは厳密には速度を表していて、速度を英語でvelocityというので、その頭文字の\(v\)を取ります。ちなみに「速さ」は英語ではspeedです。時間はtimeから\(t\)としています。
これらを使って、小学校以来の公式を文字に直すと、
\(\displaystyle\frac{x}{v|t}\)
となり、速さを表す公式は
\(v=\displaystyle\frac{x}{t}\)
となります。
速さの単位
速さを表す単位にはいくつかありますが、高校物理で最も多く使うのは次の2つです。
(1)秒速[\(m/s\)](メートル毎秒)
1\(s\)間に何\(m\)進むかを表す
(2)時速[\(km/h\)](キロメートル毎時)
1\(h\)間に何\(km\)進むかを表す
「s」は秒、「h」は時間を表します。特に(1)の秒速は物理の基本単位と言われ、時速よりも圧倒的に多く登場します。
最初の練習としては、これらの単位を自由に換算できるようにしましょう。
例1 72km/hは何m/sか。 例2 15m/sは何km/hか。 |
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解:例1
72km/h=1hで72km進む
=60分で72000m進む
÷60
=1分で 1200m進む
=60sで1200m進む
÷60
=1sで20m進む
=20m/s
解:例2
15m/s=1sで15m進む
×60
=60sで900m進む
=1分で0.9km進む
×60
=60分で54km進む
=1hで54km進む
=54km/h
という風に、言葉の意味をたどっていきながら、いちいち換算していけば確実に正解にはたどり着きます。
ただ、時速と秒速の換算は頻繁に登場するので、この2つの換算に限って次のような計算をすると楽です。
時速÷3.6=秒速
秒速×3.6=時速
さっきの例で言えば、
例1:72÷3.6=20m/s
例2:15×3.6=54km/h
で終了です。まぁ物理を知っている人からするとこの説明はどうなの?という意見も多々あるでしょうが、私は、とりあえず答えが出せるようになって、もう少し物理を学んだ時にきちんとした考え方を習得すればいいと思います。どうしても気になる人は、いちいち換算しましょう。そうするのが、本当は理論的にも正しいやり方だと思いますので、そちらが使えるようになることがベストです。
位置と変位 速さと速度
さっそくですが、ややこしい言葉の整理をしていきます。物理で登場する用語には、似ているけど意味が全然違うものがいくつかあります。それらをまとめておきます。
位置 … ある瞬間に物体がいる点
変位 … 物体の位置の変化
距離 … 点と点の間の直線的な長さ
道のり… 実際に通っていく経路すべての長さ
速さ … 単位時間(1時間、1秒間)に進む距離の大きさ
速度 … 速さと向きを合わせた量 正負で表す
時刻 … ある瞬間
時間 … ある時刻からある時刻まで
頑張って暗記するほどのものではなくて、勉強していく中で自然に身についてくるものですが、学習スタートのころは、これらの用語を読み違って不正解になってしまうこともありますので、一応まとめておきました。何かのときに困ったら、ここに立ち返ってください。