問題文に登場する「ゆっくり引き上げる」という文言は、「合力０を維持したまま、等速で引き上げる」という意味です。動き始めこそ大きな力がいるでしょうが、動いてしまえばあとは合力０にしても動いたままです。
ちょうど、自転車をこぐときに、こぎ始めは大きな力がいるけれど、動いてしまえばペダルから足を離しても前に進んでいくのと似ています。(実際は摩擦によって少しずつ遅くなりますので、ちょっとは、こいでおかないと等速では進みませんが…)
(1)
ゆっくり(＝等速で)引き上げるために、合力０としなければいけないので、斜面下方向の重力を求めればいいですね。斜面下向きの重力は、
\(mgsinθ\) より
\(20×9.8×sin30°\)
\(＝20×9.8×\frac{1}{2}\)
\(＝98N\)
(2)
(1)で力が求まっているので、仕事を計算するには、移動距離との積を求めればいいですね。
\(W=Fx\) より
\(W=98×10\)
\(W=9.8×10^2J\)
(3)
仕事の原理により、斜面を使おうが使うまいが、仕事の値は同じなので、(2)の値より
\(W’=W\)
\(W'=9.8×10^2J\)
(4)
動摩擦が斜面下向きに22Nかかっているので、斜面下向きの重力98Nと合わせると
\(22+98=120N\)
これと張力がつりあう状態を保ちながら引き上げればいいので、
\(W''=120×10\)
\(W''=1.2×10^3J\)
