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リ物基 基問106

(1)

台をゆっくりおろしていき、まだ台が離れていないときを考えます。

図のように、重力\(mg\)とつりあう力として、弾性力\(kx\)と垂直抗力\(F\)があるので、

 \(mg=kx+F\)

としておいて、\(kx\)を移項して、

 \(F=mg-kx[N]\)

となります。

問題文に単位が指定されているので、解答にも単位をつけなければいけませんね。

 

 

(2)

おもりが台から離れたとき、おもりは重力と弾性力によってつり合いの状態になっています。よって

 \(mg=kx\)

となります。もしくは、(1)の問題で、単に\(F=0\)と考えてもいいですね。

ここから移項して

 \(x_1=\displaystyle\frac{mg}{k}[m]\)

 

 

(3)

はじめの状態で台を急に取り去ると、おもりは単振動を行います。

いろいろと別解も考えられそうですが、ここでは力学的エネルギー保存則を使うのが一番早く解けそうです。

 

最下点がどこか分かりませんが、最下点を高さの基準として考えます。このとき、最高点、つまり初期位置は高さ\(x_2\)にあることになります。また、最下点ではばねののびが\(x_2\)になり、ちょうど静止していることになります。おもりがUターンする部分の頂点ですから、最下点にきた瞬間だけ速さ\(0\)ですね。

 

これらの力学的エネルギーを書き出してみます。

■最高点(初期位置)

 位置エネルギー:\(mgx_2\)

 運動エネルギー:\(0\)

 弾性エネルギー:\(0\)

■最下点

 位置エネルギー:\(0\)

 運動エネルギー:\(0\)

 弾性エネルギー:\(\displaystyle\frac{1}{2}kx_2^2\)

 

保存則を使うと

 \(mgx_2=\displaystyle\frac{1}{2}kx_2^2\)

\(x_2≠0\) なので、両辺から割って

 \(mg=\displaystyle\frac{k}{2}x_2\)

 

 \(x_2=\displaystyle\frac{2mg}{k}[m]\)

 

となりました。

 

 

(4)

エネルギーと仕事の関係の問題です。

 

まず\(x_2\)について。これはイメージしやすいように、最高点(初期位置)で手をはなすと、その位置エネルギーがすべて運動エネルギーと弾性エネルギーに変わっていきますので、おもりがつり合いの点を通るときにも運動エネルギーが残ってしまい、さらに下へ下へと運動することができます。

 

次に\(x_1\)について。こちらは、人間が支えながらそーっと下げています。このとき、人間が加える力は(1)の図でいう垂直抗力\(F\)に相当します。おもりをおろすにしたがって\(F\)の大きさは変化するので、直接計算で値を求めるのは難しいかもしれませんが、少なくとも、加えた力の向きとは逆向きに動いているので、負の仕事をしていることが分かります。

 

負の仕事の代表格は摩擦力ですね。要は、負の仕事をすることで、もともとおもりが持っていた位置エネルギーのうちのいくらかは、手を動かすためのエネルギーに使われてしまっているわけです。そして、値としては、おもりのつり合いの点で運動エネルギーが\(0\)になるような量だけ手によって仕事がなされた、ということになります。

 

負のエネルギーを”垂直抗力”と呼ぶことにすれば、垂直抗力がなければおもりは\(x_2\)まで伸びることができたが、垂直抗力があるときは、それより短い\(x_1\)までしか伸びることができない、というようなイメージですね。