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リ物基 基問98

この問題は、仕事の単元から考えるよりもエネルギーの単元で考える方が分かりやすいと思います。

 

▼仕事とエネルギー

元のエネルギー+仕事=後のエネルギー

\(E_0 + W = E\)

 

という公式があるので、これを使うことにしましょう。

物体系を引く前はばねも伸びておらず、動きもせず、高さもありませんので、最初のエネルギーは0です。

一方で、ばねを\(x\)だけ引いたあとは、ばねには弾性エネルギーが\(\frac{1}{2}kx^2\)だけ蓄えられます。また、動摩擦力\(f=µ'mg\)を受けながら\(x\)だけ移動していますので、摩擦によって\(W=µ'mgx\)だけエネルギーが利用されています。

 

つまり、人が仕事をしたことで、そのエネルギーのうちのいくらかはバネに行き、いくらかは摩擦熱に行った、ということを式に表せばよさそうです。

 

\(E_0+W=E\) より

\(0+W=\frac{1}{2}kx^2+µ'mgx\)

\(W=\frac{1}{2}kx^2+µ'mgx\)

 

慣例で、特にくくる必要はありません。

 

 

摩擦の符号がしっくりこない人は、

\(E_0+W=E\) より

\(0+W-µ'mgx=\frac{1}{2}kx^2\)

\(W-µ'mgx=\frac{1}{2}kx^2\)

\(W=\frac{1}{2}kx^2+µ'mgx\)

 

とすると分かりやすいかもしれません。

右辺に置く場合は、「摩擦は+µ'mgxの(熱)エネルギーになった」と解釈し、左辺に置く場合は、「摩擦は-µ'mgxの仕事を行う」と解釈します。

 

上の解き方は、「仕事=弾性エネルギー+摩擦熱エネルギー(正)」という意味で、

下の解き方は、「手がした仕事+摩擦がした仕事(負)=弾性エネルギー」という意味です。

 

私はエネルギーで考えるのが好きなので、摩擦エネルギーをすぐ右辺に書くクセがありますが、仕事で考える方がしっくりくるのであれば、左辺においても、式の上では同じです。