熱膨張
気体と同様に、固体も加熱すると膨張します。この現象を熱膨張と言います。熱膨張する物体の形状に従って3つの公式を紹介します。
▼熱膨張
線膨張 \(l=l_0(1+αt)\)
面膨張 \(S=S_0(1+βt)\)
体膨張 \(V=V_0(1+γt)\)
ここで、\(α\)、\(β\)、\(γ\)はそれぞれ線膨張率、面膨張率、体膨張率と呼ばれ、単位は\([1/K]\)です。
また、\(l_0\)、\(S_0\)、\(V_0\)は0℃における長さ、面積、体積で、\(t\)は温度\([℃]\)を表します。
ある面の金属板が線膨張の公式に従って、熱膨張するとします。すると、金属板は縦と横それぞれの方向に膨張するので、
\(S=l^2\)
\(S=(l_0(1+αt))^2\)
\(S=l_0^2(1+2αt+α^2t^2)\)
となります。\(α\)は物質によって値が異なりますが、だいたい\(10^{-5}\)とか\(10^{-4}\)とかいう大きさですので、\(α^2t^2\)は四捨五入して切り捨てられるような値です。よって、
\(S=l_0^2(1+2αt)\)
\(S=S_0(1+2αt)\)
とすることができますので、\(β=2α\)とすれば線膨張率だけで面膨張率も定義できることが分かります。
同様に体膨張率でも、
\(V=l^3\)
\(V=(l_0(1+αt))^3\)
\(V=l_0^3(1+3αt+3α^2t^2+α^3t^3)\)
\(V≒l_0^3(1+3αt)\)
\(V=V_0(1+3αt)\)
とすれば、\(γ=3α\)と表せます。
▼膨張率の換算
面膨張率 \(β≒2α\)
体膨張率 \(γ≒3α\)