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物基34 熱膨張

熱膨張

 気体と同様に、固体も加熱すると膨張します。この現象を熱膨張と言います。熱膨張する物体の形状に従って3つの公式を紹介します。

 

▼熱膨張

線膨張 \(l=l_0(1+αt)\)

面膨張 \(S=S_0(1+βt)\)

体膨張 \(V=V_0(1+γt)\)

 

ここで、\(α\)、\(β\)、\(γ\)はそれぞれ線膨張率面膨張率体膨張率と呼ばれ、単位は\([1/K]\)です。

また、\(l_0\)、\(S_0\)、\(V_0\)は0℃における長さ、面積、体積で、\(t\)は温度\([℃]\)を表します。

 

 ある面の金属板が線膨張の公式に従って、熱膨張するとします。すると、金属板は縦と横それぞれの方向に膨張するので、

 

\(S=l^2\)

\(S=(l_0(1+αt))^2\)

\(S=l_0^2(1+2αt+α^2t^2)\)

 

となります。\(α\)は物質によって値が異なりますが、だいたい\(10^{-5}\)とか\(10^{-4}\)とかいう大きさですので、\(α^2t^2\)は四捨五入して切り捨てられるような値です。よって、

 

\(S=l_0^2(1+2αt)\)

\(S=S_0(1+2αt)\)

 

とすることができますので、\(β=2α\)とすれば線膨張率だけで面膨張率も定義できることが分かります。

同様に体膨張率でも、

 

\(V=l^3\)

\(V=(l_0(1+αt))^3\)

\(V=l_0^3(1+3αt+3α^2t^2+α^3t^3)\)

\(V≒l_0^3(1+3αt)\)

\(V=V_0(1+3αt)\)

 

とすれば、\(γ=3α\)と表せます。

 

▼膨張率の換算

面膨張率 \(β≒2α\)

体膨張率 \(γ≒3α\)