(1)
膨張した真鍮製の定規で、膨張した鉄棒の長さを測る問題です。
定規は0℃で正しい長さを示すので、l_0=3400mm。前半の問題は、これが30℃のときは何mmですか、という問題です。
目盛りがどうこう書いてありますが、問題文の読解で自滅しないでくださいね。
真鍮の線膨張は、線膨張率\(α=2.0×10^{-5}\)の方の値を用います。
\(l=l_0(1+αt)\) より
\(l=3400(1+2.0×10^{-5}×30)\)
\(l=3400(1+60×10^{-5})\)
\(l=3400(1+0.0006)\)
\(l=3400×1.0006\)
\(l=3402.04\)
∴
3402mm
この問題は、小数を四捨五入して整数で答えるように指示があります。
ここから分かるのは、30℃における鉄棒の長さは、定規の上では3400mmとなっているけれど実際は3402.04mmですよ、ということです。問題文がややこしいですが、鉄棒の長さと、真鍮定規の3400mmの目盛りの部分が同じ長さですよ。
(2)
次に鉄棒の長さを考えます。
鉄の線膨張は、線膨張率\(α=1.0×10^{-5}\)の方の値を用います。鉄の方が膨張しにくいんですね。
0℃での鉄棒の長さは不明なので、\(l_0\)のままにしておきます。
30℃での鉄棒の長さ3402.04mmは前問で求まっているので、
\(l=l_0(1+αt)\) より
\(3402.04=l_0(1+1.0×10^{-5}×30)\)
\(3402.04=l_0(1+3.0×10^{-4})\)
\(l_0=\displaystyle\frac{3402.04}{1+3.0×10^{-4}}\)
ここで、a≪1のときの近似式
\(\displaystyle\frac{1}{1+a}≒1-a\)
を用いると
\(l_0=3402.04×(1-3.0×10^{-4})\)
\(l_0=3402.04×(1-0.0003)\)
\(l_0=3402.04×0.9997\)
\(l_0=3401.019388\)
∴
3401mm
もしくは、分配法則を先に行えば
\(l_0=3402.04×(1-3.0×10^{-4})\)
\(l_0=3402.04(1-0.0003)\)
\(l_0=3402.04-3402.04×0.0003\)
\(l_0=3402.04-1.020612\)
\(l_0=3401.019388\)
∴
3401mm
そもそも近似式を使わずに
\(l_0=\displaystyle\frac{3402.04}{1+3.0×10^{-4}}\)
\(l_0=3402.04÷1.0003\)
\(l_0=3401.01969409\)
∴
3401mm
としても同じ結果ですが、いずれの場合でも整数まで答えればいいので、小数第2位以下のような小さい数字は計算途中で四捨五入しながら進めてもほぼ大丈夫です。そうなると、近似を使う方が早く数式処理できます。