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リ物基 応問19

川を渡る向きの速度は、川を渡る時間と関係があり、川を流れる向きの速度は、川を渡る時間とは無関係であることに注意をしましょう。

 

例えば、最初に船がいる場所を原点として、川の流れる向きをx軸、川を渡る向きをy軸として、グラフ上を船が動くことを考えてみます。川を渡り切るためには、y座標がいくらかの値をもつところまでたどり着けばいいですが、川の流れが速かろうと遅かろうと、川の流れによって変化するのはx座標の値ですね。

 

なので、「川を渡る」ためにはy軸のことだけ考える必要があり、「川を流される」ためにはx軸のことだけ考える必要があります。物理はこんなふうにして、軸の独立というとらえ方をします。

 

 

(1)

向こう側の岸へ到着するまでの時間を最短とするには、川が流れていようと流れていまいと、川の流速は川を渡る時間とは関係しないので、単純に船の舳先(へさき)を川の流れに垂直にすればいいですね。

よって θ=90°

 

また、渡り切るためにかかる時間は、川幅が72mなので、川の流れに垂直な向きに2.0m/sで進むのであれば、速さ・時間・距離の関係から、距離÷速さ より

72÷2.0=36s

 

このとき、川の流れによって流されているので、最短時間で到着してはいますが、船が実際に進んだ距離が最短距離(72m)ではないことに気をつけてください。実際には、流速1.2m/sで36s間だけ流されて、43.2mだけ下流の対岸に到着しています。

 

 

(2)

船の舳先(へさき)を60°の向きに向けて進むとき、川が流れる向きと、川を渡る向きとにそれぞれ速度の成分を分解すると、図のようになります。

ここに、さらに川の流速1.2m/sが加えられるので、実際の船の速度は次の図のようになります。

この赤い太矢印で表されている速度を、三平方の定理で計算すると、

 

\(v^2=2.2^2+\sqrt{3}^2\)

\(v^2=4.84+3\)

\(v=\sqrt{7.84}\)

 

このルートは単純には外せません。

そこでルートの中身について、素因数分解を行い、

\(0.1)\underline{7.84}\)

\(0.1)\underline{78.4}\)

\(2)\underline{784}\)

\(2)\underline{392}\)

\(2)\underline{196}\)

\(2)\underline{98}\)

\(7)\underline{49}\)

 

(素因数分解ってどうやったら表示崩さずに書けるんだろうか…)

 

\(v=\sqrt{0.1×0.1×2×2×2×2×7×7}\)

\(v=0.1×2×2×7\)

\(v=2.8m/s\)

 

また、川を渡るのに要する時間は(1)と同様に、川の流れに垂直な向きへの速度成分を用いて、

距離÷速さ より

\(t_2=72÷\sqrt{3}\)

 

\(t_2=\displaystyle\frac{72}{\sqrt{3}}\)

 

\(t_2=\displaystyle\frac{72\sqrt{3}}{3}\)

 

\(t_2=24\sqrt{3}\)

 

\(t_2=24×1.73\)

 

\(t_2=42s\)