(1)
電流の定義式より
\(I=\displaystyle\frac{Q}{t}\)
\(I\)を\(Q\)と\(t\)で表せ、と書いてあるので、「\(I=\)」が必要です。\(Qt\)だけではだめです。
(2)
自由電子が一定の速さ\(v\)で一方向に移動している、とあります。実際は、自由電子の個々の動きはランダムなので、一つ一つに注目すれば速さが違うのはもちろんのこと、銅線内を斜めに移動するものや、逆向きに流れているものもいます。それらは通常、「自由電子の平均の速度\(\bar{v}\)」として表現することが多いですが、ここでは簡単のため、「一定の速さで一方向に移動」と断言しています。どちらも言い回しの違いであって、説明したいことは同じなので、さして気にする必要はありませんが、頭の片隅に入れておきましょう。
問題文の図(a)のようにとった「断面A右側の長さ\(vt[m]\)の円柱」の体積は、底面積×高さより、\(vtS[m^3]\)と表せます。
リード文4行目に、\(1m^3\)あたりの電子の個数を\(n\)個と設定しているので、\(vtS[m^3]\)あたりの電子の個数は\(nvtS[個]\)ですね。
また、電子1個の電気量の大きさを\(e\)とすると、電子\(nvtS[個]\)では電気量は\(envtS[C]\)と表せます。
これらが\(t[s]\)間に断面Aを通過するので、(1)と同じように電流の定義式を使えば、
\(I=\displaystyle\frac{Q}{t}\)
\(I=\displaystyle\frac{envtS}{t}\)
\(I=envS\)
(3)
代入するだけです。\(1mm^2=10^{-6}m^2\)であることに注意して、
\(I=envS\) より
\(1.0=1.6×10^{-19}・8.5×10^{28}・v・1.0×10^{-6}\)
\(1.0=1.6・8.5・1.0 × 10^{-19}・10^{28}・10^{-6} ×v\)
\(1.0=13.6×10^{-19+28-6} ×v\)
\(1.0=13.6×10^3v\)
\(v=\displaystyle\frac{1}{13.6×10^3}\)
\(v=\displaystyle\frac{1}{13.6}×10^{-3}\)
\(v=0.0735…×10^{-3}\)
\(v=7.4×10^{-5}[m/s]\)