等加速度3公式の使い分けに関する問題です。
\(v=v_0+at\):原則これを使う
\(x=v_0t+\frac{1}{2}at^2\):問題に[m]が関係するときに使う
\(v^2-v_0^2=2ax\):問題に[s]がないときに使う
というのが基本指針です。
また、記述問題の場合は、どちらを正にしたかということと、問題文に与えられていない文字が何を意味するのか書いたか、ということの2点の忘れがないか注意しましょう。
すなわち、記述解答の構成は
①正の定義
②文字の定義
③使う公式を明記
④計算
⑤適切な解答
となります。以下では分かりやすくするために①②③と示しながら解答していきます。
(1)
①東向きを正とする。
②自動車の速度を\(v[m/s]\)とすると
③\(v=v_0+at\) より
④\(v = 8.0 + 2.0×3.0 = 14.0m/s\)
⑤よって、東向きに\(14.0m/s\)
よくある記述例として、①②が忘れられ、③から解答がスタートする人がいます。
でもこれはまだいい方で、物理が苦手な人は下手をすると④から解答がスタートすることがあり、何の計算をしているのかさっぱり分からず、採点の土俵にすら立たずに全部アウトになってしまう人もいるわけです。
記述解答の最初の数行に何を書くべきか、という部分は理解力ではなく解答テクニックの部分ですので、実力を十分に発揮するためには練習量がいります。物理の受験対策では、こういう部分を練習するわけです。
ちなみに、最終解答は\(14m/s\)ではなく\(14.0m/s\)です。ここにさらにややこしさが潜んでいます。問題のケタ数が2ケタだから解答も2ケタなんじゃないですか、という質問が方々から来そうですが、有効数字の考え方を使うと、\(14.0m/s\)で正しいんです。
有効数字は
乗除算:ケタ数の小さいケタに合わせる
加減算:最小ケタの大きいケタに合わせる
という考えで、かけ算とわり算の場合は、ケタ「数」を揃えますが、たし算とひき算の場合はケタそのものを揃えるルールとなっています。
\(2.0×3.0\)の計算部分はケタ「数」を揃えて\(6.0\)としていて、続く\(8.0+6.0\)の計算部分はケタそのものを揃えるために\(14.0\)となる、という仕組みです。なんともややこしいですね。
(2)
①東向きを正とする。
②求めたい移動距離を\(x[m]\)とすると
③\(x=v_0t+\frac{1}{2}at^2\) より
④\(x = 8.0・3.0 + \frac{1}{2}・2.0・3.0^2\)
\(x = 24 + 9.0\)
\(x = 33m\)
⑤よって\(33m\)
④の1行目のかけ算ではケタ「数」をそろえ、2行目のたし算ではケタそのものを大きい位に揃えています。
たし算でケタを揃えるときには、計算するケタが違えば、その中で一番大きいケタ(24(整数)+9.0(小数1位)ならケタは整数の方が大きい)に揃えます
(3)
この問題だけ時間\([s]\)が与えられていませんので、3公式のうち3つ目の式を使うのがラクです。
①東向きを正とする
②求めたい加速度を\(a[m/s^2]\)とすると
③\(v^2-v_0^2=2ax\) より
④\(6.0^2-14.0^2 = 2・a・20\)
\(36 -196 = 40a\)
\(40a=-160\)
\(a=-4.0m/s^2\)
⑤よって、西向きに\(4.0m/s^2\)
④の計算のうち\(40a=-160\)では、移項したあとの\(-160÷40\)の計算で3ケタ÷2ケタ=2ケタとなっています。かけ算わり算の有効数字は、ケタ数の小さいものに合わせます。
⑤の解答では、東向きに\(-4.0m/s^2\)はアウトです。
こう書いてしまった人は「おしい」という感覚を捨て去り、全然違うという感覚を身につけましょう。
以上、長くなりましたが、解答を出す以外に重要な部分が多いですので、自分で意識していなかった部分を注意する練習の手助けにしてください。