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リ物 基60

非等速円運動の問題なので、エネルギー保存則力のつり合いを使うのが指針です。

 

(1)

最高点を通過するときの速さを求める場合、物理基礎の内容であれば、力学的エネルギー保存則を使いました。

ところが、この問題では、最下点での速さ\(v_0\)が与えられていないので、力学的エネルギー保存則では解けません。

そこで別の作戦を立てる必要がありますが、非等速円運動の問題を解くときの観点として、エネルギー保存か、力のつり合いのどちらかを考えますので、保存則が使えないとなれば、次に思いつくのが力のつり合いです。

 

最高点で、重力より遠心力が強ければ、小球は落ちることなく回転を続けることができます。遠心力が強いということは、垂直抗力もはたらきます。

垂直抗力を\(S\)、小球にはたらく遠心力を\(m\frac{v_B^2}{l}\)、重力を\(mg\)とすると、

最高点での力のつり合いの式は、

 

 \(S+mg=m\displaystyle\frac{v_B^2}{l}\)

 

小球が最高点をギリギリ通過するかしないかの境界では、一瞬だけ垂直抗力が\(0\)になります。

なので、

 

 \(mg=m\displaystyle\frac{v_B^2}{l}\)

 

よって、\(v_B\)について解くと、

 

 \(v_B=\sqrt{gl}\)

 

計算過程は省略しました。

 

(2)

最高点での速さが分かれば、最下点での速さは、今度は力学的エネルギー保存則で求めることができます。

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv_0^2=\frac{1}{2}mv_B^2+mg・2l\) から

 

 \(mv_0^2=mv_B^2+4mgl\)

 

 \(v_0^2=v_B^2+4gl\)

 

(1)で \(v_B=\sqrt{gl}\) が分かってますので、代入して

 

 \(v_0^2=gl+4gl\)

 \(v_0=\sqrt{5gl}\)

 

(3)

糸ではなく、重さのない棒を用いた場合、(1)の結果が変わります。最高点で、遠心力に頼って壁に張り付く必要がなくなりますので、速さが\(0\)以上でさえいれば通過できてしまいます。

 

最下点での力学的エネルギー=最高点での力学的エネルギー

 

だと、最高点に到着したときに、ちょうど小球の速さが\(0\)となり実験終了となってしまいますので、ここからわずかにでも大きいエネルギーがあればいいことになります。等号成立しませんので、それを注意しましょう。

よって、

 

最下点での力学的エネルギー>最高点でのエネルギー

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv_0^2>mg・2l\)

 

 \(v_0^2=4gl\)

 

 \(v_0=2\sqrt{gl}\)