角速度
円運動を学ぶにあたって、新しい物理量「角速度」が登場します。これについてまとめておきましょう。
物体が速さ\(v\)で円運動しているとします。このとき、メリーゴーランドのように速さが一定であれば「等速円運動」と言います。一方で、ジェットコースターがループコースを回るときのように、速さが途中で変化するような運動であれば「非等速円運動」と言います。
どちらのタイプも出題されますが、まずは「等速円運動」について学んでいくものと思ってください。
「速度」は「距離÷時間」で定義されました。これは\([m]\)基準で、単位時間(1s間)にどのくらいの距離\([m]\)だけ進んだか、というルールでした。
これを角度\([rad]\)基準で考えることにします。「距離÷時間」に相当する量として「中心角÷時間」を導入します。
言い換えると、\(1s\)で\(1rad\)だけ回転するとき、角速度を\(1\)として決めてやります。角速度を表す文字は「\(ω\)(オメガ)」を用います。また、この単位を\([rad/s]\)として表せます。
\(ω\)は、アルファベットの\(w\)ではないので気をつけましょう。字を書き始めるときの最初の曲がり具合が逆です。
簡単に練習してみましょう。
問:\(2.0s\)で\(4.0rad\)だけ回転する等速円運動の角速度はいくらか。
解:\(4.0rad÷2.0s=2.0rad/s\)
問:\(4.0s\)で\(2.0\pi[rad]\)だけ回転する等速円運動の角速度はいくらか。
解:\(2.0\pi÷4.0=0.50\pi[rad/s]\)
こんな感じです。
▼角速度
⇒1sで何度[rad]回転するかを表す量
\(ω=\displaystyle\frac{Δθ}{Δt}\)
あまり見ることはないですが、角速度も見かたを変えた速度の一種ですので、負の量も許容されます。
角速度が負であれば、\(-θ\)方向の回転、つまり時計回りを表すことになります。
しかし高校物理では、入試も含めてほとんどの場合は、「角速度の大きさ」を求める問題なので、正\((+θ)\)の回転、つまり反時計回りを考えればいいですよ。
円運動の速度
角速度ではなくて、きちんと速度を求めるにはどうすればいいでしょう。
速度は、
\(v=\displaystyle\frac{Δx}{Δt}\)
で求められます。ここで、\(x\)を弧の長さ\(l=rθ\)として考えれば、\(r\)が一定である円運動では、
\(Δx=Δl=rΔθ\)
とできるので
\(v=\displaystyle\frac{rΔθ}{Δt}\)
\(v=rω\)
と書き換えることが出来ます。
▼円運動の速度
\(v=rω\)
円運動の加速度
加速度も同様に求めてみましょう。
\(a=\displaystyle\frac{Δv}{Δt}\)
で求められます。ここで、\(Δv\)について考えます。これは速度の変化を意味していますが、等速円運動なので、速度の大きさは変わりません。変わるのは向きです。なので、長さについて\(Δl=rΔθ\)としているように、速度でも\(Δv=vΔθ\)とできるので
\(a=\displaystyle\frac{vΔθ}{Δt}\)
\(a=vω\)
\(a=rω^2\)
と書き換えることが出来ます。\(v=rω\)なので、\(ω\)を使わずに
\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)
としてもいいですね。
加速度は円の中心を向きます。円の外側に向く向きを「動径」方向といい、円の中心に向く向きを「向心」方向というため、このときの加速度を「向心加速度」とも言います。
▼円運動の加速度(向心加速度)
\(a=rω^2\)
\(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)
円運動の周期・回転数
円運動するときに1周何秒で回転するかを「周期」と言います。
円周\(2\pi r\)を速さ\(v\)で進むので、「距離÷速さ」より
\(T=\displaystyle\frac{2\pi r}{v}\)
また、\(v=rω\)で変換すると
\(T=\displaystyle\frac{2\pi}{ω}\)
とも表せます。問題文に\(ω\)があるかないかで使い分けたら良さそうですね。
また、\(1s\)間に何回転するかを表す物理量は「回転数」と言います。
\(1周:T[s] = n[周]:1s\) より
\(1×1=Tn\)
よって、
\(T=\displaystyle\frac{1}{n}\)
もしくは
\(n=\displaystyle\frac{1}{T}\)
という関係もあります。
▼円運動の周期
\(T=\displaystyle\frac{2\pi r}{v}\)
\(T=\displaystyle\frac{2\pi}{ω}\)
▼円運動の回転数
\(n=\displaystyle\frac{1}{T}\)