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円運動2 等速円運動

角速度

 円運動を学ぶにあたって、新しい物理量「角速度」が登場します。これについてまとめておきましょう。

 

 物体が速さ\(v\)で円運動しているとします。このとき、メリーゴーランドのように速さが一定であれば「等速円運動」と言います。一方で、ジェットコースターがループコースを回るときのように、速さが途中で変化するような運動であれば「非等速円運動」と言います。

 

 どちらのタイプも出題されますが、まずは「等速円運動」について学んでいくものと思ってください。

 

 

 「速度」は「距離÷時間」で定義されました。これは\([m]\)基準で、単位時間(1s間)にどのくらいの距離\([m]\)だけ進んだか、というルールでした。

 

 これを角度\([rad]\)基準で考えることにします。「距離÷時間」に相当する量として「中心角÷時間」を導入します。

 言い換えると、\(1s\)で\(1rad\)だけ回転するとき、角速度を\(1\)として決めてやります。角速度を表す文字は「\(ω\)(オメガ)」を用います。また、この単位を\([rad/s]\)として表せます。

 \(ω\)は、アルファベットの\(w\)ではないので気をつけましょう。字を書き始めるときの最初の曲がり具合が逆です。

 

簡単に練習してみましょう。

問:\(2.0s\)で\(4.0rad\)だけ回転する等速円運動の角速度はいくらか。

 解:\(4.0rad÷2.0s=2.0rad/s\)

 

問:\(4.0s\)で\(2.0\pi[rad]\)だけ回転する等速円運動の角速度はいくらか。

 解:\(2.0\pi÷4.0=0.50\pi[rad/s]\)

 

こんな感じです。

 

▼角速度

 ⇒1sで何度[rad]回転するかを表す量

 \(ω=\displaystyle\frac{Δθ}{Δt}\)

 

 あまり見ることはないですが、角速度も見かたを変えた速度の一種ですので、負の量も許容されます。

角速度が負であれば、\(-θ\)方向の回転、つまり時計回りを表すことになります。

しかし高校物理では、入試も含めてほとんどの場合は、「角速度の大きさを求める問題なので、正\((+θ)\)の回転、つまり反時計回りを考えればいいですよ。

 

円運動の速度

 角速度ではなくて、きちんと速度を求めるにはどうすればいいでしょう。

速度は、

 

 \(v=\displaystyle\frac{Δx}{Δt}\)

 

で求められます。ここで、\(x\)を弧の長さ\(l=rθ\)として考えれば、\(r\)が一定である円運動では、

 \(Δx=Δl=rΔθ\)

とできるので

 

 \(v=\displaystyle\frac{rΔθ}{Δt}\)

 \(v=rω\)

 

と書き換えることが出来ます。

 

▼円運動の速度

 \(v=rω\)

 

円運動の加速度

 加速度も同様に求めてみましょう。

 

 \(a=\displaystyle\frac{Δv}{Δt}\)

 

で求められます。ここで、\(Δv\)について考えます。これは速度の変化を意味していますが、等速円運動なので、速度の大きさは変わりません。変わるのは向きです。なので、長さについて\(Δl=rΔθ\)としているように、速度でも\(Δv=vΔθ\)とできるので

 

 \(a=\displaystyle\frac{vΔθ}{Δt}\)

 \(a=vω\)

 \(a=rω^2\)

 

と書き換えることが出来ます。\(v=rω\)なので、\(ω\)を使わずに

 \(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)

としてもいいですね。

加速度は円の中心を向きます。円の外側に向く向きを「動径」方向といい、円の中心に向く向きを「向心」方向というため、このときの加速度を「向心加速度」とも言います。

 

▼円運動の加速度(向心加速度)

 \(a=rω^2\)

 \(a=\displaystyle\frac{v^2}{r}\)

 

円運動の周期・回転数

 円運動するときに1周何秒で回転するかを「周期」と言います。

円周\(2\pi r\)を速さ\(v\)で進むので、「距離÷速さ」より

 

 \(T=\displaystyle\frac{2\pi r}{v}\)

 

また、\(v=rω\)で変換すると

 

 \(T=\displaystyle\frac{2\pi}{ω}\)

 

とも表せます。問題文に\(ω\)があるかないかで使い分けたら良さそうですね。

 

また、\(1s\)間に何回転するかを表す物理量は「回転数」と言います。

 \(1周:T[s] = n[周]:1s\) より

 \(1×1=Tn\)

よって、

 \(T=\displaystyle\frac{1}{n}\)

もしくは

 \(n=\displaystyle\frac{1}{T}\)

 

という関係もあります。

 

 

▼円運動の周期

 \(T=\displaystyle\frac{2\pi r}{v}\)

 \(T=\displaystyle\frac{2\pi}{ω}\)

 

 

▼円運動の回転数

 \(n=\displaystyle\frac{1}{T}\)