斜方投射
小球を斜め上方に初速度\(v_0\)で打ち出したとします。すると、小球は放物線を描きながら落下します。このような運動を「斜方投射」と言います。
この斜方投射の軌道について考えるときも、水平投射と同じく、縦方向と横方向をそれぞれ別々に考えます。
小球が打ち出されたあと、小球には重力のみがはたらきます。重力は鉛直下向きに加わりますので、鉛直下向きには加速度がありますが、それ以外の方向には加速度はありません。なので、鉛直方向の運動は「鉛直投射」として振る舞い、水平方向の運動のみを考えると、「等速直線運動」をしています。
このように、斜方投射を扱うときにも、水平投射と同じく軸を分解して、それぞれの軸の運動について、運動の振る舞いを考えてやると、複雑な軌道を単純にとらえることができるようになります。
▼斜方投射
水平方向:等速直線運動として考える
鉛直方向:鉛直投射として考える
斜方投射の初速度
斜方投射の問題を解こうとするとき、ほとんどの場合で初速度\(v_0\)が斜め向きに与えられているため、水平方向と鉛直方向の運動を別々に考えたいときは、初速度も、水平方向と鉛直方向に分解してから考えなければいけません。
例えば、初速度\(v_0\)が仰角\(60°\)、大きさ\(20m/s\)で与えられているとします。
すると、図のように初速度を縦横に分解すると、\(1:2:\sqrt{3}\)の直角三角形が出来ますので、水平方向の初速度(水平初速度\(v_{0x}\))は\(10m/s\)、鉛直方向の初速度(鉛直初速度\(v_{0y}\))は\(10\sqrt{3}m/s\)ということになります。
また、一般に、初速度\(v_0\)が仰角\(\theta\)で与えられているとすれば、水平初速度は\(v_{0x}=v_0cos\theta\)、鉛直初速度は\(v_{0y}=v_0sin\theta\)で与えられます。
ここで登場する\(sin\theta\)(サインシータ)と\(cos\theta\)(コサインシータ)は、三角比と呼ばれるもので、数学で習うよりも先に物理に登場してきてしまう数学用語です。
のちのち、補講2としてまとめておこうと思いますが、今はまだ作っていませんので、読み飛ばしておいてください。しばらくの間は、直角三角形の比のみで解けます。
▼初速度成分
\(v_{0x}=v_0cos\theta\)
\(v_{0y}=v_0sin\theta\)
この単元は、けっこうな演習量がいります。数字で扱う単純な問題、文字のみで扱う問題、投げ出した場所と着地点との高さが違う問題、モンキーハンティング、など、一問できるようになっても次から次へと新しいタイプの問題と出くわしてしまいます。
ただ、根幹にある考え方は鉛直投射と等速運動のみなので、パターン暗記に走らないように意識しておきましょう。