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リ物 基30

この問題は、リード物理基礎の応用86と同じ設定の問題ですね。

応用86では、それぞれ運動方程式を立てて、それぞれの加速度を求めさえすれば、等加速度公式に代入することで、どの時刻に一体化(小物体と板が同じ速度で動く状態)が完了するかを求めることができますよ、という問題でした。

 

問題に入る前に、この応用86の導出過程を、公式のままで追ってみます。

 \(ma=F\)より \(a=\displaystyle\frac{F}{m}\)

これを等加速度公式 \(v=v_0+at\) に代入

 \(v=v_0+\displaystyle\frac{F}{m}t\)

 

 \(v-v_0=\displaystyle\frac{F}{m}t\)

 

 \(mv-mv_0=Ft\)

 

となりました。つまり、応用86は運動量と力積の関係を使えば、運動方程式を解く操作を省略することができるわけです。

応用86を解く時点では、運動方程式しか解くワザを持っていませんでしたので、応用問題の区分でしたが、この章に到達した今となっては、運動量と力積が使えますから、レベルは基本問題まで降りてくるんですね。

 

(1)

 「小物体が板に対して静止した」というのは、「板に小物体が衝突し、一体化した」ということと同じ状態です。

 衝突の仕方はおいといて、結局のところは、静止している板に運動している小物体が力を加えて、やがて同じ速さになる、ということなので、一体化問題として解きましょう。

 ちなみに、加わっている力は、きちんと説明すれば、大きさ\(\mu mg\)の動摩擦力です。図のように加わります。

 

 \(mv_0=(M+m)V\) より

 

 \(V=\displaystyle\frac{mv_0}{M+m}\)

 

一体化問題だと読み解くことができさえすれば、解答部分は少ないですね。

 

 

(2)

 時間についても問われたら、力積を使うのがスマートです。

 板と小物体のどちらで考えてもいいですが、板の初速度が\(0\)なので、板で考えてみることにしてみましょうか。

 方針としては、板についてだけで考えて、

 

  (はじめの運動量)+(加えられた力積)=(あとの運動量)

 

という関係です。それぞれ文字で書くと、

 

  \(0\) \(+ F\Delta t\) \(= MV\)

 

となります。板についてだけ考えていますので、あとの運動量は一体化したときの\((M+m)V\)ではありません。

力は動摩擦力\(F=\mu mg\)なので、

 

  \(\mu mg t =M・\displaystyle\frac{mv_0}{M+m}\)

 

  \(\mu g t =\displaystyle\frac{Mv_0}{M+m}\)

 

 

  \(t = \displaystyle\frac{Mv_0}{\mu (M+m)g}\)