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リ物 基37

(1)

衝突後の速度が両方とも分からない場合、未知数\(2\)つに対して、運動量保存則の式\(1\)つでは解答まで到達できないのが目に見えています。

こういうとき、もう一本の式をどこから持ってくるのか、というと、反発係数の式との連立になります。

 

「運動量保存則と反発係数の連立」は、衝突問題のパターンの一つなので、知っておくと便利ですよ。

衝突後の速さが両方とも分からないときに使う解法パターンです。

 

衝突後、物体\(B\)は明らかに右に進みますが、小球\(A\)は右に進むのか左に進むのか分かりません。なので、符号がややこしくないように、とりあえず右向きに動くと仮定して文字を置いておきます。解答がマイナスになれば左向きだった、というだけですので、変に符号で悩まないようにするために、右向きにしておきましょう。

 

はじめ物体\(B\)は動いていないので、運動量はありません。

運動量保存則より、

 \(mv_0=mv+MV\)

反発係数の式より

 \(e=\displaystyle\frac{遠ざかる速さ}{近づく速さ}\)

 

 \(e=\displaystyle\frac{V-v}{v_0}\)

 

これらを連立します。反発係数の式から

 \(ev_0=V-v\)

 \(V=v+ev_0\)

これを運動量保存則に代入すると、

 \(mv_0=mv+M(v+ev_0)\)

 \(mv_0=mv+Mv+eMv_0\)

 \(mv_0=(M+m)v+eMv_0\)

 \(mv_0-eMv_0=(M+m)v\)

 \((M+m)v=(m-eM)v_0\)

 

 \(v=\displaystyle\frac{m-eM}{M+m}v_0\)

 

反発係数の式 \(V=v+ev_0\) に代入すると

 

 \(V=\displaystyle\frac{m-eM}{M+m}v_0+ev_0\)

 

 \(V=\displaystyle\frac{m-eM}{M+m}v_0+\frac{e(M+m)}{M+m}v_0\)

 

 \(V=\displaystyle\frac{m-eM+eM+em}{M+m}v_0\)

 

 \(V=\displaystyle\frac{(1+e)m}{M+m}v_0\)

 

となりました。

 

(2)

小球\(A\)がはね返るということは、\(v<0\)であることを意味しますね。

\(v\)はすでに求まっていますので、

 

 \(v=\displaystyle\frac{m-eM}{M+m}v_0<0\)

つまり

 \(m-eM<0\)

 

 \(m<eM\)

 

 \(\displaystyle\frac{m}{M}<e\)

 

となります。一方で、反発係数にはもともと

 

 \(0≦e≦1\)

 

という条件もありますので、これらの共通領域である

 

 \(\displaystyle\frac{m}{M}<e≦1\)

 

が最終解答です。