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リ物 応43

(1)

物体が最高点に達した一瞬だけ、物体と台が一体化していると見なすことができます。このとき、物体と台は同じ速度\(V\)で動いています。

なので、運動量保存則

 \(mv=(M+m)V\) より

 

 \(V=\displaystyle\frac{m}{M+m}v\)

 

 

(2)

(1)のときの運動エネルギーは、一体化して質量が\(M+m\)になっていることに注意すると、

 \(K=\displaystyle\frac{1}{2}(M+m)V^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{1}{2}(M+m)・\left( \displaystyle\frac{m}{M+m}v \right)^2\)

  

  \(=\displaystyle\frac{1}{2}(M+m)・ \displaystyle\frac{m^2}{(M+m)^2}v^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{m^2}{2(M+m)}v^2\)

 

 

 

(3)

物体が台に乗ることを”衝突”の一種だとして考えてみましょう。

この前後での力学的エネルギーは次の表のようになります。

物体が台に乗るまでを”衝突前”、台上で最高点に達したときを”衝突中”、その後、台から降りた後を”衝突後”と表現することにします。

 

  衝突前 衝突中 衝突後
位置エネルギー

\(0\)

\(mgH\)

\(0\)

運動エネルギー \(\frac{1}{2}mv^2\)

 \(\frac{m^2}{2(M+m)}v^2\)

 \(\frac{1}{2}mv_1^2+\frac{1}{2}mV_1^2\)
力学的エネルギー \(E\) \(E\) \(E\)

 

この衝突では摩擦や空気抵抗がありませんので、力学的エネルギーが保存します。力学的エネルギーが保存するということは、完全弾性衝突をするということと同じ意味ですので、反発係数\(e=1\)の衝突としてみなすことができます。

 

"衝突前"と"衝突中"との間で、力学的エネルギー保存則を適用してみましょう。

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2=mgH+\frac{m^2}{2(M+m)}v^2\)

 

 \(mv^2=2mgH+\displaystyle\frac{m^2}{M+m}v^2\)

 

 \(2gH=v^2-\displaystyle\frac{m}{M+m}v^2\)

 

 \(2gH=\displaystyle\frac{M+m}{M+m}v^2-\frac{m}{M+m}v^2\)

 

 \(2gH=\displaystyle\frac{M}{M+m}v^2\)

 

 \(H=\displaystyle\frac{M}{2g(M+m)}v^2\)

 

 

(4)

方法は2つあります。一つは、力学的エネルギー保存則と運動量保存則の連立。もう一つは、反発係数の式と運動量保存則の連立です。

力学的エネルギー保存則を使って解くと、明らかに\(v^2\)が関係するので、\(2\)次式を解く必要が出てきます。

一方で、反発係数と運動量の式の中には\(2\)乗の式はありませんので、単なる方程式で解けるということに気付きます。

 

なのでこういう動く斜面を物体が登るタイプの問題では、反発係数の式と運動量保存則の連立式を使うということをパターンとして知っておくといいと思います。

 

物体が台をのぼって、その後降りたとき、物体の速度を\(v_1\)、台の速度を\(V_1\)とします。

 

[運動量保存則]

 \(mv=mv_1+MV_1\)

[反発係数]

 \(e(=1)=\displaystyle\frac{V_1-v_1}{v}\)

 

反発係数の式より

 \(v=V_1-v_1\)

 \(V_1=v+v_1\)

これを運動量保存則に代入

 \(mv=mv_1+M(v+v_1)\)

 \(mv=mv_1+Mv+Mv_1\)

 \(mv-Mv=mv_1+Mv_1\)

 \((m-M)v=(M+m)v_1\)

 

 \(v_1=\displaystyle\frac{m-M}{M+m}v\)

 

いま、問題文の設定は\(m<M\)とされているので、\(v_1<0\)となります。つまり物体は台を降りた後は左向きに進むことが分かります。

しかし、問われているのは速度ではなく速さなので、値を正の数に変えなければいけません。

よって

 

 \(v_1=\displaystyle\frac{M-m}{M+m}v\)

 

となります。さらにこれを運動量保存則の式に代入して整理すると、

 

 \(V_1=\displaystyle\frac{2m}{M+m}v\)

 

も求まりますが、計算は省略しますね。