· 

リ物 応62

作図をするときに悩むのが、どの軸について作図をするか、ということですね。

どの軸をとって作図をしても正解までもっていけるにはいけますが、出来るだけ簡単な作図軸をとってやる方が都合が良いです。

 

この問題の場合であれば、向心力(or遠心力)と重力が図の縦横の向きを向いていて、張力だけが斜め向きに作図されるので、張力の方を分解して考える方が解きやすくなります。

もちろん、重力を糸の延長軸に分解しても解けますが、おそらく大変です。

 

(ア)

糸の張力を\(S\)とすると、張力を分解した鉛直成分が\(Scos\theta\)になるので、鉛直方向の力のつり合いの式は

 \(Scos\theta=mg\)

よって

 \(S=\displaystyle\frac{mg}{cos\theta} [N]\)

 

 

(イ)

円運動している部分の円軌道の半径が\(r=lsin\theta\)と表せるので、

等速円運動の運動方程式\(mr\omega^2=F\)より

 \(ml\omega^2 sin\theta=F\)

また、向心力\(F\)は張力を分解したときの水平成分なので

 \(ml\omega^2 sin\theta=Ssin\theta\)

 \(ml\omega^2=S\)

(ア)を代入すると

 \(ml\omega^2=\displaystyle\frac{mg}{cos\theta}\)

よって

 \(\omega^2=\displaystyle\frac{g}{lcos\theta}\)

 

 \(\omega=\displaystyle\sqrt{\frac{g}{lcos\theta}} [rad/s]\)

 

 

(ウ)

(イ)で\(\omega\)が求まったので、\(v=r\omega\)で求めるのが早そうです。

 \(v=lsin\theta \displaystyle\sqrt{\frac{g}{lcos\theta}}\)

 

  \(=sin\theta\displaystyle\sqrt{\frac{gl}{cos\theta}} [m/s]\)

 

もしくは、(イ)で\(\omega\)が求まらなかったか、求めたけど合っている自信がない、というときは直接運動方程式から、

 \(m\displaystyle\frac{v^2}{r}=F\) より

 

 \(m\displaystyle\frac{v^2}{lsin\theta}=Ssin\theta\)

 

 \(m\displaystyle\frac{v^2}{lsin\theta}=\frac{mg}{cos\theta}sin\theta\)

 

 \(v^2=\displaystyle\frac{glsin^2\theta}{cos\theta}\)

 

 \(v=sin\theta\displaystyle\sqrt{\frac{gl}{cos\theta}} [m/s]\)

 

としてもいいです。

 

(エ)

小球が点\(A\)に達したあと、小球は単に初速度\(v_0\)で水平投射されます。もはや円運動とは一切関係のない運動になるので、糸が切れたあと、らせん運動することも、円運動の公式を使うこともありません。

図の点\(A\)をスタートに、単に水平横向きに初速度\(v_0\)をもつだけの運動だということを理解しましょう。

そこに納得がいけば、問題自体は大したことない問題です。

 

水平投射したあと地上に落下するのに要する時間は、高さ\(h\)だけ自由落下するのに要する時間と同じなので、自由落下の公式を利用して、

 \(h=\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\) より

 

 \(t^2=\displaystyle\frac{2h}{g}\)

 

 \(t=\displaystyle\sqrt{\frac{2h}{g}} [s]\)

 

 

(オ)

この間に横に進む距離\(L\)は、水平投射された物体は水平方向には等速運動することから、

 \(x=v_0t\) より

 \(x=v\displaystyle\sqrt{\frac{2h}{g}}\)

これで終わりではありません。円の中心の直下を点\(B\)としています。この点\(B\)からの距離を求めなさいと問われていますので、三平方の定理を利用しましょう。

 

いま円の半径は\(r=lsin\theta\)としているので、点\(A\)の直下を点\(A'\)とすると、\(BA'=lsin\theta\)です。

そして、\(A'C\)が先ほど求めた\(x\)そのものですので、\(A'C=x=v_0\displaystyle\sqrt{\frac{2h}{g}}\)となっています。

これら2辺が垂直になるので、三平方の定理から、

 \(BC^2=BA'^2+A'C^2\)

 

 \(BC^2=l^2sin^2\theta+v^2\displaystyle\frac{2h}{g}\)

 

 \(BC^2=l^2sin^2\theta+\displaystyle\frac{glsin^2\theta}{cos\theta}・\frac{2h}{g}\)

 

 \(BC^2=l^2sin^2\theta+\displaystyle\frac{2lhsin^2\theta}{cos\theta}\)

 

 \(BC=sin\theta\displaystyle\sqrt{l^2+\frac{2lh}{cos\theta}} [m]\)