(1)原子が\(\alpha\)崩壊するとき、\(\alpha\)線を放出します。\(\alpha\)線の正体は\(^4_2He\)の原子核ですので、これが飛び出ることで、質量数が\(4\)、原子番号が\(2\)だけ減少します。
(2)原子が\(\beta\)崩壊するとき、\(\beta\)線を放出します。\(\beta\)線の正体は高エネルギーの電子ですので、\(\alpha\)線の論理と同じ考えでいくと、質量数も原子番号も変化がないように思います。しかしそれは誤りで、\(\beta\)崩壊というのは、中性子が陽子に変化することで電子を放出する崩壊です。電子が飛び出ることが主ではなく、中性子が陽子に変化することが主で、その結果として電子も現れる、という崩壊です。
中性子が陽子と電子に変化した時点では電荷はつりあっていますが、電子を放出してしまいますので、結果的に\(\beta\)崩壊後の原子はイオン化された状態になります。
以上より、質量数は変化なし、原子番号は\(+1\)となります。
(3)
\(\alpha\)崩壊するごとに、質量数が\(4\)、原子番号が\(2\)だけ減少し、\(\beta\)崩壊するごとに、原子番号は\(1\)増加します。
つまり、質量数を変える崩壊は\(\alpha\)崩壊だけですので、まずは質量数だけに注目して、\(\alpha\)崩壊の回数を推測します。
いま、質量数が\(238\)から\(206\)に変化していますので、質量数は\(32\)だけ減少しているのが分かります。\(\alpha\)崩壊1回ごとに、質量数は\(4\)だけ減少しますので、崩壊回数は、
\(32÷4=8\)回
また、このときセットで1回の崩壊ごとに原子番号が\(2\)だけ減少しますので、\(8\)回の\(\alpha\)崩壊があると、原子番号は
\(2×8=16\)
だけ減少し、
\(^{206}_{76}X\)
で表されるような原子になっているはずです。ここから次は、原子番号に注目しましょう。\(\beta\)崩壊は1回の崩壊ごとに原子番号だけを\(+1\)しますので、原子番号が\(82\)になるまでには、
\(82-76=6\)回
の崩壊があればいいことが分かります。
以上より、
\(\alpha\)崩壊:8回
\(\beta\)崩壊:6回
となりますね。