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リ物 基97

 地球の表面すれすれ、とあります。これがどの程度なのか考えてみます。地球は自転しているので、遠心力の影響を受けて、赤道付近は膨れています。地球中心から極までの半径は約\(6357km\)、赤道までの半径は\(6378km\)で、ともに有効数字\(2\)ケタでは\(6400km\)となります。

 

 仮に半径\(6400km\)を周回しても、これは有効数字から考えると「地表すれすれ」と言っても差し支えありませんが、現実には上空\(22~43km\)あたりの軌道ということになります。エベレストでも標高は約\(9km\)、飛行機が飛ぶ高度も最も高くてもせいぜい\(11km\)ですから、「地表すれすれ」で人工衛星が周回しても、何もぶつかるものはないくらいの高さとなっています。

 この高さでは、重力は\(mg\)と考えても有効数字\(2\)ケタの範囲で正しいです。

 

(1)

半径\(R\)の円運動をしていて、向心力は\(mg\)とできます。

 \(m\displaystyle\frac{v^2}{R}=mg\) より

 \(v^2=gR\)

 \(v=\sqrt{gR}\)

 

(2)

運動エネルギーは

 \(K=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{1}{2}m・gR\)

 

位置エネルギーは

 \(U=-G\displaystyle\frac{Mm}{R}\)

 

  \(=-\displaystyle\frac{gR^2・m}{R}\)

 

  \(=-mgR\)

よって

 \(E=\displaystyle\frac{1}{2}mgR-mgR\)

 

  \(=-\displaystyle\frac{1}{2}mgR\)

 

(3)

無限に遠くに行くと、位置エネルギーの基準面に達するので、位置エネルギー\(=0\)となる。この位置で運動エネルギーが\(0\)以上であればいい。つまり、力学的エネルギー\(≧0\)であればいい。

加える力学的エネルギーを\(\Delta E\)とすると、軌道上と無限遠点で力学的エネルギー保存則は

 \(-\displaystyle\frac{1}{2}mgR+\Delta E ≧0\)

 

 \(\Delta E ≧\displaystyle\frac{1}{2}mgR\)

 

よって、少なくともエネルギーは\(\displaystyle\frac{1}{2}mgR\)あればいい。