(1)
まず明らかに変化するのは「体積」ですね。膨張しますからね。
もう一つ明確にわかるのは「質量」が不変ということです。水銀滴があるため、気体は出入りできません。
次に、意外かもしれませんが「圧力」が一定であることも、すぐにわかることの一つです。水銀滴が移動していく、という文章には、"ゆっくり"移動していくという条件が暗に示されていて、水銀滴の運動は\(0m/s\)に近い等速運動をしています。このとき、水銀滴を左から押す力と、右から大気が押す力は等しくなり、合力が\(0\)となり、水銀滴が等速でゆっくり運動すると解釈することができます。
少なくとも加速運動しながら水銀滴が移動するわけではないことには気づけると思いますので、仮に水銀滴について\(ma=F\)を立てても、\(a=0\)から\(F=0\)とみなしてもいいでしょう。
要は、合力\(0\)なので、フラスコの内圧と外圧(大気圧)が等しい状態を保ちながら水銀滴が移動しているということですので「圧力」も一定のままとなっています。この過程を専門分野では「準静的過程」と 呼びます。
すると「温度」は、ボイルシャルルの法則 \(\displaystyle\frac{pV}{T}=\)一定 において、\(p\)が一定で、\(V\)が増加していますので、\(T\)は増加していることが分かります。
以上より、変化していないものは
「圧力」と「質量」
です。この問題、答えは一つだけですよ、とは言われていませんので、気をつけてください。
(2)
さて、ではそこから計算してみましょう。
圧力が一定だということが上の議論によって分かりましたので、シャルルの法則より
\(\displaystyle\frac{V_0}{T_0}=\frac{V}{T}\)
\(\displaystyle\frac{500}{288}=\frac{V}{304}\)
\(V=\displaystyle\frac{500・304}{288}\)
\(V=527.777777…≒528cm^3\)
となりました。この問題では、有効数字は3桁となります。