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リ物基 基例22

 

 

 

(1)

ばねにおもりをつるすと、\(d\)だけ伸びて静止した、とあります。

このとき、おもりにはたらく力は、重力と弾性力があって、これらがつり合った状態になっています。

図のような状態ですね。

 

力のつり合いの式から、

 \(kd=mg\)

 

 \(k=\displaystyle\frac{mg}{d}\)

 

となります。

 

(2)

次に、つり合いの位置を地面と考えて、力学的エネルギーをまとめてみましょう。

 

つり合いの位置から、おもりを自然長まで持ち上げるというのは、高さ\(d\)だけ持ち上げるということですので、位置エネルギーが\(mgd\)になります。持ち上げたとき、動いていませんので、運動エネルギーは\(0\)です。ばねは自然長ですから、伸びが\(0\)なので、弾性エネルギーも\(0\)です。

 

また、手を離して、ちょうどおもりがつり合いの位置を通過していくときの速さを\(v\)としておきます。このとき、位置エネルギーは、つり合いの位置を地面と考えることにしたので、\(0\)です。一方で、おもりは動いていますので、運動エネルギーがあって、さらにこのとき、ばねも\(d\)だけ伸びていますので、弾性エネルギーもあります。

 

これらを表にまとめると、次のようになります。

 

  左の図 右の図
位置エネルギー 0 \(mgd\)
運動エネルギー \(\frac{1}{2}mv^2\) 0
弾性エネルギー \(\frac{1}{2}kd^2\) 0
力学的エネルギー \(E\) \(E\)

 

ここまで準備ができれば、あとは力学的エネルギー保存則の式を立ててやればいいですね。

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2+\frac{1}{2}kd^2=mgd\)

 

まずは両辺を\(2\)倍して、分数を消滅させてしまいましょう。

 

 \(mv^2+kd^2=2mgd\)

 

いま、\(v\)を求めたいので、移項すると、

 

 \(mv^2=2mgd-kd^2\)

 

このまま進めると、計算が複雑になりそうですね。ところが一つ忘れています。(1)で\(k\)が求まっていますので、それを代入することにしましょう。

 

 \(mv^2=2mgd-\displaystyle\frac{mg}{d}×d^2\)

 

 \(mv^2=2mgd-mgd\)

 

 \(mv^2=mgd\)

 

 \(v^2=gd\)

 

 \(v=\sqrt{gd}\)

 

となりました。この問題のコツは、計算が手詰まったときに、前問までで求めた値をきちんと代入できるかどうかですね。

この問題以外でも、計算していく中で、どうしてもうまくいかないとき、前問までで求めた関係式を代入することで計算の続きを実行できる設定にしている問題は数多くあります。

 

手詰まったら、何か代入できるものを探すクセをつけておくといいですね。