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リ物基 基例8

(1)

互いに逆向きに運動しているので、どちらかを正の向きに決めてやる必要がありますね。

ここでは数直線と同じように、右向きを正として考えることにしてみましょう。

 

運動量保存則とは、衝突前の運動量の合計と、衝突後の運動量の合計が一致するような法則ですので、衝突前後で、それぞれの物体の運動量がどう表されるのか考えてみましょう。

 

まず衝突前から考えます。

 

 台車\(A\)の運動量は、\(p_A=1.0[kg]×0.25[m/s]=0.25[kg・m/s]\)

 台車\(B\)の運動量は、\(p_B=2.0[kg]×(-0.35[m/s])=-0.70[kg・m/s]\)

 

です。一方で衝突したあとは、これらの台車が一体化した、とありますので、質量は単純に合計して、\(1.0[kg]+2.0[kg]=3.0[kg]\)となりますが、その速度は不明なので、勝手に右向きに動くことにして、\(v[m/s]\)とします。

 

 衝突後の台車の運動量は、\(p'=3.0[kg]×v[m/s]=3.0v[kg・m/s]\)

 

となりますね。

 

左向きに動く可能性もありますが、最初に右向きを正としているので、わざわざ難しく、左向きに動くと仮定してマイナスの速度がウンタラカンタラ、と考えるよりは、シンプルに右に動くとしておいて、計算結果がマイナスなら、あぁ左向きに動くのね、くらいの感覚で解く方がいいでしょう。

 

運動量保存則から、これらの合計は一致しますので、

 

 \(0.25-0.70=3v\)

 \(3v=-0.45\)

 \(v=-0.15\)

 

よって、あぁやっぱり左だったのね、と計算結果で判別してやります。

よって答えは、図の左向きに\(0.15[m/s]\)。

 

(2)

今度は逆に、一体化しているものが2つに分裂するタイプの問題です。

はじめ、合わせて\(3.0[kg]\)の台車が、右向きに\(0.50[m/s]\)で動いていますので、

 

 分裂前の台車の運動量は、\(p=3.0×0.50=1.5[kg・m/s]\)

 

です。分裂後、台車\(A\)は左向きに進むことが分かっているようですが、台車\(B\)はどちらに進むか分かりませんので、これもさっきと同じように勝手に右向きに進むと仮定して計算だけ走らせてしまいましょう。

 

 分裂後の台車\(A\)の運動量は、\(p'_A=1.0[kg]×(-0.30)[m/s]=-0.30[kg・m/s]\)

 分裂後の台車\(B\)の運動量は、\(p'_B=2.0[kg]×v[m/s]=2.0v[kg・m/s]\)

 

ですので、運動量保存則から、これらの合計値が一致しますので、

 

 \(1.5=-0.30+2v\)

 \(2v=1.8\)

 \(v=0.90\)

 

よって、右向きを正と置いて、計算結果はプラスですので、

 図の右向きに\(0.90[m/s]\)

となります。