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1999京大Ⅰ

■解答

(イ) \(\sqrt{2gL}\)  (ロ) \(\left(\displaystyle\frac{m-M}{M+m}\right)^2L\)  (ハ) \(\displaystyle\frac{2m}{M+m}\sqrt{2gL}\)

(ニ) \(0\)  (ホ) \(\displaystyle\frac{2Mm}{M+m}\sqrt{2gL}\)  (ヘ) \(\displaystyle\frac{5}{8}\left(\frac{M+m}{m} \right) ^2r\)

(ト) \(\sqrt{gr}\)  (チ) \(2r\)

 

■解説

(イ)

 力学的エネルギー保存則より

 \(mgL=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)

 

 \(v^2=2gL\)

 \(v=\sqrt{2gL}\)

 

 

(ロ) 

 運動量保存則と、反発係数の式を連立して、一旦、衝突後にどのくらいの速さではね返っていくかを計算しておきます。

 

 \(mv=mv_1+Mv_2\)  ――①

 \(1=\displaystyle\frac{v_2-v_1}{v}\)  ――②

 

 ②式より \(v_2=v+v_1\) としておいて、これを①に代入します。

 \(mv=mv_1+M(v+v_1)\)

  \(=(M+m)v_1+Mv\)

 \((m-M)v=(M+m)v_1\)

 

 \(v_1=\displaystyle\frac{m-M}{M+m}v\)

 

よって、この速さを初速度として力学的エネルギー保存則を改めて計算しましょう。

 \(\displaystyle\frac{1}{2}Mv_1^2=Mgh\)

 

 \(h=\displaystyle\frac{1}{2g}v_1^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{1}{2g}\left(\frac{m-M}{M+m}\right)^2 v^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{1}{2g}\left(\frac{m-M}{M+m}\right)^2 2gL\)

 

  \(=\displaystyle\left(\frac{m-M}{M+m}\right)^2 L\)

 

 

(ハ)

 連立式の、もう片方の速さの解も求めてみます。

②式から、\(v_2=v+v_1\) としておいて、先に求まった\(v_1\)の値を代入します。

 

 \(v_2=v+\displaystyle\frac{m-M}{M+m}v\)

 

  \(=\displaystyle\frac{M+m+m-M}{M+m}v\)

 

  \(=\displaystyle\frac{2m}{M+m}\sqrt{2gL}\)

 

 

(ニ)

 小球2と小球3は同じ質量で、反発係数は\(e=1\)です。こういう条件を満たす衝突の場合、速度交換と言って、衝突前後の速度が入れ替わります。

 いま、小球2が速度\(v_2\)、小球3の速度が\(0\)の状態で衝突しました。すると、速度交換が行われ、小球2の速度は\(0\)、小球3の速度は\(v_2\)となります。

 よって、ここでの答えは、\(0\) となります。

 

 

(ホ)

 小球3の速度の変化が\(0\)から\(v_2\)になっていることに注目すると、力積は、

 \(I=m\Delta v\) より

 \(I=Mv_2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{2Mm}{M+m}v\)

 

  \(=\displaystyle\frac{2Mm}{M+m}\sqrt{2gL}\)

 

 

(ヘ)

Step1:点\(D\)における速さを求める。

 力学的エネルギー保存則より

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}Mv_2^2=Mg・2r+\frac{1}{2}Mv_D^2\)

 

 \(v_2^2=4gr+v_D^2\)

 

 \(v_D^2=v_2^2-4gr\)

 

 

Step2:点\(D\)で小球が面から離れない条件を求める。

 小球とともに動く系から見たとき、点\(D\)では、小球には重力、垂直抗力、遠心力の3つの力がはたらきます。

 点\(D\)で小球が面から離れないためには、重力よりも遠心力の値が大きくなければいけませんので、

 

 \(M\displaystyle\frac{v_D^2}{r} \geq Mg\)

 

 \(v_2^2-4gr \geq gr\)

 

 \(v_2^2 \geq 5gr\)

 

 

Step3:小球3が\(v_2\)でスタートできるためには、衝突直前の小球1がどのくらいの速さであればいいかを求める。

 

 \(\left( \displaystyle\frac{2m}{M+m}\right)^2 v^2 \geq 5gr\)

 

 \(v^2 \geq \left(\displaystyle\frac{M+m}{2m}\right)^2 ・5gr\)

 

 

Step4:小球1が\(v\)で衝突するための、スタートとなる高さ\(L\)を求める。

 

 \(2gL \geq \left(\displaystyle\frac{M+m}{2m}\right)^2 ・5gr\)

 

 \(L \geq \displaystyle\frac{5}{2}\left(\frac{M+m}{2m}\right)^2 r\)

 

 \(L \geq \displaystyle\frac{5}{8}\left(\frac{M+m}{m}\right)^2 r\)

 

という手順でたどっていきました。他のやり方もあるかもしれませんので、一例としてください。

 

 

(ト)

 (ヘ)のStep1の式から変形していきましょう。

 \(v_D^2=v_2^2-4gr\) より

 

 \(v_D^2=\left(\displaystyle\frac{2m}{M+m}\right)^2v^2-4gr\)

 

  \(=\left(\displaystyle\frac{2m}{M+m}\right)^2・2gL-4gr\)

 

  \(=\left(\displaystyle\frac{2m}{M+m}\right)^2・2g・\displaystyle\frac{5}{2}\left(\frac{M+m}{2m}\right)^2r-4gr\)

 

  \(=5gr-4gr\)

 

  \(=gr\)

よって

 \(v_D=\sqrt{gr}\)

 

 

(チ)

小球は点\(D\)から初速度\(v_D\)で水平投射されることを考えると、落下時間\(t\)は、

 \(2r=\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\) より

 

 \(t=\sqrt{\displaystyle\frac{4r}{g}}\)

 

 \(=2\sqrt{\displaystyle\frac{r}{g}}\)

 

となるので、この時間の分だけ水平に進む距離を求めると、

 \(BC=v_Dt\)

 

  \(=\sqrt{gr}・2\sqrt{\displaystyle\frac{r}{g}}\)

 

  \(=2r\)

 

となりました。