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1989京大Ⅰ

■解答

(イ) \(\displaystyle\frac{Mg}{k\cos \theta}\)  (ロ) \(\left(L+\displaystyle\frac{Mg}{k\cos \theta} \right)\sin \theta\)  (ハ)(ニ) 重力、弾性力

(ホ) \(Mg\tan \theta\)  (ヘ) ①円の中心に向いた  (ト) \(\tan\theta \displaystyle\sqrt{g\left(L\cos \theta +\frac{Mg}{k} \right)}\)

(チ) ②円の中心とは逆の向き  (リ) 遠心力  (ヌ) \(\displaystyle\frac{5}{3}\)

(ル) \(\displaystyle\frac{C}{C-V}f\)  (ヲ) \(\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{\sqrt{5}C+2V}f\)

 

■解説

(イ)

作図は省略しますが、まず弾性力\(kx\)を作図し、それを鉛直成分と水平成分に分解しましょう。

\(x\)は、ばねの伸びとします。それぞれの力が、

 [鉛直] \(kx\cos\theta\)

 [水平] \(kx\sin\theta\)

となります。いま、このうちの鉛直成分を使って、鉛直方向の力のつり合いの式を立てると、

 \(kx\cos\theta=Mg\) より

 

 \(x=\displaystyle\frac{Mg}{k\cos\theta}\)

 

 

(ロ)

ばねの長さが\(L+x\)なので、半径は、

 

 \(r=(L+x)\sin\theta \)

 

ここに(イ)の値を代入して

 

 \(r=\left(L+\displaystyle\frac{Mg}{k\cos\theta}\right)\sin\theta\)

 

 

(ハ)(ニ)

 円運動を、回転の外の座標系(慣性系)で見ているときには、遠心力は作図されません。ここでは、素直に物体にかかる重力と接触力を書き出して、そこから考えることになります。すると、重力ばねがおもりを引く弾性力、ということになります。

 

 

(ホ)

 重力と弾性力の合力が、円運動をするための向心力になっています。円運動をしている物体には、円の中心方向に力を受け、それ以外の力は打ち消し合ってゼロとなっていなければなりません。

 なので、向心力はちょうど弾性力の水平分力に相当していることになります。

 よって、

 

 \(kx\sin\theta=k\displaystyle\frac{Mg}{k\cos\theta}\sin\theta\)

 

 \(=Mg\tan\theta\)

 

 

(ヘ) 向心力は ①円の中心に向いた 加速度を与えます。

 

(ト)

円運動方程式を立てて、それを\(v\)について解きましょう。

 

 \(M\displaystyle\frac{v^2}{r}=Mg\tan\theta\)

 \(v=\sqrt{gr\tan\theta}\)

 

 \(=\sqrt{g\left(L+\displaystyle\frac{Mg}{k\cos\theta}\right)\sin\theta\tan\theta}\)

 

 \(=\sqrt{g\left(L\cos\theta+\displaystyle\frac{Mg}{k}\right)\tan^2\theta}\)

 

 \(=\tan\theta \sqrt{g\left(L\cos\theta+\displaystyle\frac{Mg}{k}\right)}\)

 

 

(チ)(リ)

おもりとともに回転する座標系(非慣性系)から運動を見たとき、みかけの力として、遠心力がはたらいているように見えます。

この遠心力は、②円の中心とは逆の向きに はたらいています。

 

 

(ヌ)

 点\(P\)で観測される音波の振動数が最大になるのは、音源が最も早く観測点に近づくときなので、観測点から円に対して接線を引くと、その接点のうち、音源が近づく方の点が最大値となります。

 この図でいうと、左側の接点がそれに相当しますね。

 

 いま、半径が\(r\)、\(OP=2r\)なので、接点が\(90°\)であることから、\(1:2:\sqrt{3}\)の直角三角形になり、\(\phi=300°\)とわかります。これをラジアンに直してやればいいので、

 \(\phi=\displaystyle\frac{5}{3}×\pi\)

 

 

(ル)

このとき、観測者が聞く最大の振動数\(f_{max}\)は、ドップラー効果の公式より

 

 \(f_{max}=\displaystyle\frac{C}{C-V}f\)

 

となります。ここでは、振動数の最大値だけを聞いているので、これ以上踏み込む必要はありませんが、最大振動数が発せられてから観測点に音が届くまでの間に、音源はさらにいくらかの時間をかけて周回していますので、観測点が最大振動数の音を聞いたときに音源が接点にいるわけではない、ということも知っておくといいでしょう。

 

 

(ヲ)

 今度は点\(O\)から真右の点に音源がありますので、\(1:2:\sqrt{5}\)の直角三角形になります。音源の速度\(V\)を、観測点から音源に向かう軸に対して分解すると、\(V\cos\theta\)となりますが、\(\cos\theta=\displaystyle\frac{2}{\sqrt{5}}\)ですので、それも代入してしまうことができますね。

 

 \(f'=\displaystyle\frac{C}{C+V\cos\theta}f\)

 

 \(=\displaystyle\frac{C}{C+V\frac{2}{\sqrt{5}}}f\)

 

 \(=\displaystyle\frac{\sqrt{5}C}{\sqrt{5}C+2V}f\)