新リ物基 基問27

鉛直投げ上げの問題です。初速度が上向きなので、上向きを正として問題を解きます。

すると、重力は下向きになりますので、加速度\(a\)が、\(-g\)であると解釈して、等加速度公式を加工していきましょう。

 

等加速度直線運動の公式

 

 \(v=v_0+at\)

 

 \(x=v_0t+\displaystyle\frac{1}{2}at^2\)

 

です。ここで、加速度\(a\)を\(-g\)に変えて、落下方向は\(x\)軸から\(y\)軸に変えます。すると鉛直投げ上げの公式を作ることができて、

 

 \(v=v_0-gt\)

 

 \(y=v_0t-\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\)

 

となります。このように、鉛直投げ投げの公式は、いちいち暗記するんじゃなくて、等加速度の公式から少しだけ使う文字や符号を調節してやる方が、ゆくゆくはラクです。

 

どうしても作れない人は投げ上げ公式として暗記してもいいですが、2物体の運動になるときに対応できなくなる問題設定もありますので、作れるようにしておくことをおすすめします。

 

(1)

最高点に到達したとき、速度が\(0\)になります。これを利用して、速度の公式から問題を制覇していきましょう。

 

ステップ①「正の向きの定義」

 鉛直上向きを正とすると、

 

ステップ②「公式宣言」

 \(v=v_0-gt\) より

 

ステップ③「数値代入」

 最高点における小球の速度は\(0\)となるので、

 \(0=19.6-9.8t\)

 

ステップ④「計算」

 \(9.8t=19.6\)

 \(t=2.0\)

 

ステップ⑤「適切な解答文の作成」

 よって、小球が最高点に到達するのは\(2.0\)秒後。

 

同様に高さも求めてみます。正の向きの定義はもう終わっていますので、公式宣言からのスタートになります。また、\(t=2.0\)が求まっていますので、それも使えますね。

 

 \(y=v_0t-\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\) より

 

 \(y=19.6×2.0-\displaystyle\frac{1}{2}×9.8×2.0^2\)

 

 \(y=39.2-19.6\)

 

 \(y=19.6≒20\)

 

よって、最高点の高さは\(20m\)

 

 

(2)

地上に落下する、というのは、\(y\)座標が\(0\)になるということなので、高さの公式に\(y=0\)を代入する時刻を求める問題です。

 

同じく鉛直上向きを正にすると、

 

 \(y=v_0t-\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\) より

 

 \(0=19.6t-\displaystyle\frac{1}{2}×9.8×t^2\)

 

両辺\(t(t≠0)\)で割って、

 \(0=19.6-4.9t\)

 \(4.9t=19.6\)

 \(t=4.0s\)

 

とするのが正攻法の解き方ですが、これは(3)が単独で出題された場合に解く方法です。

今回の問題では、地面から最高点まで要する時間が\(2.0s\)だということがすでに求まっていますので、「運動の対称性」を利用する方が早いです。

 

地面から最高点まで\(2.0s\)なので、運動の対称性より、最高点から地面に落下するまでの時間も\(2.0s\)である。

よって、\(4.0s\)。

 

これが最短コースですね。

 

さて、その時の速さですが、一つ注意してください。ここで聞いているのは速度ではなく速さです。

つまり、計算結果にマイナスが出てしまった場合でも、速度の大きさを聞いていますので、勝手にプラスに置き換えて、正の数として答えなければいけないということです。

 

 \(v=v_0-gt\) より、落下に要する時間が\(t=4.0s\)であるから、

 \(v=19.6-9.8×4.0\)

 \(v=19.6-39.2\)

 \(v=-19.6≒-20\)

 

よって小球の速さは、\(20m/s\)。