上昇中の気球から小球を「静かに」放す運動に関する問題です。
ふつう、物体を「静かに」放すときは自由落下を意味しますが、ここでは気球が等速で上昇しているので、気球の速さがそのまま初速度になります。
つまり、自由落下に見せかけた鉛直投げ上げの問題なんですね。
この問題の難しい点は2か所あって、一つは、今見たように、自由落下ではなく鉛直投げ上げ運動になるという点、もう一つは、手を放した所から、小球は落下しますので、地上を表す\(y\)がマイナスで表現されるという点です。
とりあえず、問題を解きながらどういうことなのかたどっていきましょう。
まずは正の定義をして、公式宣言ですね。
鉛直上向きを正とすると、
\(y=v_0t-\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\) より
はい、まずここまで書いておきます。ここに適切な数値を代入できるかどうかが大切なポイントになりますね。
まずは\(v_0\)から見てみます。初速度\(v_0\)は、気球に乗っている人から見れば確かに自由落下のように、そっと手を放しているだけなんでしょう。ところが地面にいる人からすると、気球はずっと上に運動している最中ですので、気球の速さがそのまま初速度になっているはずです。
よって、\(v_0=4.9m/s\)を代入します。
つぎに\(y\)ですが、落体の問題では、小球を放した点を原点としますから、鉛直上向きを正とすると、地面は「原点」から下向きに\(58.8m\)の点だということになります。なので、\(y\)には、\(58.8\)ではなくて、\(-58.8\)を代入しなければなりません。
これらを踏まえて、解答の続きを仕上げていきましょう。
\(-58.8=4.9t-\displaystyle\frac{1}{2}×9.8t^2\)
\(-58.8=4.9t-4.9t^2\)
両辺\(4.9\)で割って、
\(-12=t-t^2\)
\(t^2-t-12=0\)
\((t+3)(t-4)=0\)
よって、\(t>0\)なので、
\(t=4.0s\)
となりました。