基本問題38と同様に、初速度を縦と横に分解して、斜め方向に投げられた物体が、実質、縦向きにはどのくらいで投げられたことになるのか、横方向にはどのくらいの速度で投げられたことになるのかを、それぞれ求めるところから始めましょう。
(1)
まず、初速度を縦と横に分解しましょう。分解の仕方は、はじめに小球がある位置を原点と考えて軸をとったあと、矢印の先の点の座標を表すように縦と横に補助線を引けばすぐに求まります。
そして、初速度の縦と横の成分をそれぞれ求めると、\(1:2:\sqrt{3}\)の直角三角形の比から、図のように、鉛直初速度が\(9.8m/s^2\)、水平初速度が\(9.8\sqrt{3}[m/s]\)と求まります。
この時点では、\(\sqrt{3}\)に数字をいれてはいけません。数字を入れることで四捨五入をしなければいけなくなるので、その影響が最後にどう転ぶか分かりません。あえてルートのままにしておきましょう。
最高点に到達するとき、縦軸方向の速さは\(0\)になります。縦軸方向には単なる鉛直投げ上げ運動をしているととらえて、初速度のうちの鉛直初速度\(9.8m/s^2\)だけを使います。
横軸方向の、水平初速度は、値が大きかろうが小さかろうが、高さを変化させる影響はありませんので、ここでは使いません。
\(v=v_0-gt\) より、最高点では\(v=0\)になるので、
\(0=v_{0y}-gt\)
\(0=9.8-9.8t_1\)
\(9.8t_1=9.8\)
\(t_1=1.0\) [s]
(2)
高さに関しても、初速度だけ鉛直初速度を使うことに気を付けます。
単なる鉛直投げ上げ運動であるととらえて、塔の先端から最高点までの高さを\(h\)とすると、
\(y=v_{0y}t_1-\displaystyle\frac{1}{2}gt_1^2\) より
\(h=9.8・1.0-\displaystyle\frac{1}{2}・9.8・1.0^2\)
\(h=9.8-4.9\)
\(h=4.9\) [m]
いま、地上から最高点までの高さが問われているので、塔の高さを足して、
\(H=39.2+4.9=44.1\)
\(≒44\) [m]
(3)
これが問題ですね。最初に、塔の頂上にある小球を原点と決めました。図中の塔のイラストや地面のイラストを無視して、単純に小球を原点として考えます。ここに縦軸と横軸を書き入れると分かりやすくなりますが、地上は、塔から下に\(39.2m\)のところですので、\(y\)座標で言えば、\(y=-39.2\)ということになります。
そこさえわかれば、あとは数式の中での機械的な作業として計算を追いかけてみましょう。
小球が落下するまでにかかる時間を\(t_2\)とすると、鉛直投げ上げの式は、
\(y=v_{0y}t_2-\displaystyle\frac{1}{2}gt_2^2\) より
\(-39.2=9.8t_2-\displaystyle\frac{1}{2}・9.8・t_2^2\)
\(-39.2=9.8t_2-4.9t_2^2\)
両辺を\(4.9\)で割ると、
\(-8=2t_2-t_2^2\)
\(t_2^2-2t_2-8=0\)
\((t_2-4)(t_2+2)=0\)
\(t>0\) なので \(t_2=4.0\) [s]
(4)
水平方向へは重力がかかっていませんので、水平方向に進んだ距離は等速直線運動で解くことができます。
最大到達距離は
\(x=v_{0x}t\) より
\(x=9.8\sqrt{3}・t_2\)
\(x≒9.8・1.73・4.0\)
\(=67.816\)
\(≒68\) [m]