この問題に限った話ではありませんが、いま、物体を大きさの無い質点として考えているので、作図線を意図的に全て物体の中心から作図することにしておきます。
なぜかというと、そっちの方が見やすいからです。それだけです。
問題文には、手から物体に加えられている外力が描かれていますが、ここに追加で、重力と垂直抗力を作図してみます。
すると、(1)では、外力と垂直抗力が垂直になりました。(2)では外力と重力が垂直に描かれました。
なので、この後の作図は、(1)では、斜面に平行な方向と斜面に垂直な方向をそれぞれ軸にして作図を考えるのがラクなのに対し、(2)では、図の向きをそのままに縦と横に軸をとって考えるのがラクです。
軸のとり方は、自由にとればいいですので、(1)を縦と横の軸で考えてもいいですし、(2)を斜面に平行な軸と斜面に垂直な軸で考えても問題はありません。ただ、もともとある力が軸と重なっている方がラクですので、作図した力の中に垂直な組み合わせがあれば、その2つの力の向きで軸を設定してやるのが、その後の考えをラクにするコツと言えるでしょう。
(1)
斜面に平行な方向と、斜面に垂直な方向を軸としてやると、重力が軸に対して斜め向きになりますので、重力を軸に向かって分解してやります。
すると、基本例題12のときと同じ方法で、分力の大きさをたどることができます。
重力は\(mg\)、斜面の角度が\(30°\)なので、斜面に沿って下向きの分力は\(\displaystyle\frac{1}{2}mg\)、斜面に垂直な方向の分力は\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}mg\)となります。これがそれぞれ、外力や垂直抗力とつり合うので、外力を\(F\)、垂直抗力を\(N\)とすると、
\(F=\displaystyle\frac{1}{2}mg[N]\)
\(N=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}mg[N]\)
とできます。
(2)
図の向きのまま、縦と横を軸として考えてやると、垂直抗力が軸に対して斜め向きになりますので、垂直抗力を分解します。
すると、横軸への分力は\(\displaystyle\frac{1}{2}N\)、縦軸への分力は\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}N\)となります。
これらがそれぞれ、外力や重力とつり合うので、
[縦軸] \(\displaystyle\frac{1}{2}N\)\(=\)\(F\)
[横軸] \(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}N\)\(=\)\(mg\)
となります。[横軸]の式から
\(N=\displaystyle\frac{2}{\sqrt{3}}mg[N]\)
が求まりますので、それを[縦軸]の式に代入すると、
\(F=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}mg[N]\)
と求まります。
有理化は物理では必須ではありませんので、ここで解答を止めてもokです。