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電磁気17 ジュールの法則

ジュール熱

 金属のような導体に電流を流すと、熱が発生します。この熱を「ジュール熱」といいます。

 

 導体に電流を流すと、電荷が原子核の周囲を通過したときに、\(qV[J]\)の電気エネルギーを熱運動のエネルギーとして与えます。

 

 導体中に\(I[A]\)の電流が流れているとき、\(t[s]\)間に通過する電気量は\(q=It[C]\)なので、導体の原子がうけとるエネルギーは

 

 \(U=qV\)

  \(=It×V\)

  \(=VIt[J]\)

 

となります。

 これが中学以来扱っていた「ワット×秒=熱量」という関係式に相当します。電圧×電流が電力(ワット)でしたね。

 

  電位の高いところから低いところへ電荷が移動すると、電荷は電気的な位置エネルギーを失います。このエネルギーがすべて熱エネルギーに変換されますので、ジュール熱を放出したあとの電荷は、そのエネルギー分だけの電位を失い、最終的に回路を一周すると0ボルトに戻るという仕組みです。

 

 

▼ジュール熱

 \(Q=VIt\)

 

仕事率と電力

 電池や電流が単位時間あたりにした仕事のことを電力といいます。1秒あたりの仕事のことを仕事率といいますので、仕事率の電気分野での呼び方と解釈してもいいでしょう。

 

文字は\(P\)で表し、単位は\([W]\)(ワット)を使います。

 

熱エネルギー\(Q\)を仕事と考えて、

 

 \(P=\displaystyle\frac{Q}{t}\)

 

  \(=\displaystyle\frac{VIt}{t}=VI[W]\)

 

となり、電圧×電流が電力(ワット)という形が出てきます。

 

 

▼電力

 \(P=VI\)