物体にかかる重力は、
\(mg=0.40×9.8=3.92[N]\)
です。これが\(45°\)の斜面上にありますので、重力を斜面に沿う向きと斜面に垂直な向きに分解したとき、斜面に沿う向きの力の成分は、
\(F=\displaystyle\frac{3.92}{\sqrt{2}}[N]\)
となります。これを、運動方程式\(ma=F\)に代入すると、
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92}{\sqrt{2}}[N]\)
となり、あとは計算をしていって加速度を求める、という話になります。
通常、ルートや円周率などは、問題文で求められている有効数字+1ケタを考えますので、この問題の場合であれば、\(sqrt{2}=1.41\)として問題を解くことになりますが、設定が絶妙な数値になっているので、計算過程によって答えにブレが出てしまいます。
[解法手順1] そのまま代入する
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92}{\sqrt{2}}\)
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92}{1.41}\)
\(0.40a=2.780\)
\(a=6.95\)
よって
\(a=7.0[m/s^2]\)
[解法手順2] 先に有理化をする
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92}{\sqrt{2}}\)
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92\sqrt{2}}{2}\)
\(0.40a=1.96\sqrt{2}\)
\(0.40a=1.96×1.41\)
\(0.40a=2.7636\)
\(a=6.909\)
よって
\(a=6.9[m/s^2]\)
さてじゃあどちらが正しいのかという話ですが、結論から言うと、この問題でルートを厳密に計算したときの答えは
\(a=6.9296…[m/s^2]\)
ですので、
\(a=6.9[m/s^2]\)
が正解ということになります。
敗因は、ルートの有効数字が3桁では四捨五入をカバーしきれていなくて、\(\sqrt{2}=1.414\)まで読まないといけなかったという、後付けでようやく分かるような設定だったということです。
なので、[解法手順1]で
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92}{\sqrt{2}}\)
\(0.40a=\displaystyle\frac{3.92}{1.414}\)
\(0.40a=2.772\)
\(a=6.93\)
とすると確かに答えは一致して、\(a=6.9[m/s^2]\)の方が正しいと分かるのです。
こんなものはね、物理を理解しているか、していないか、という話ではありませんし、できなかったことに対して勉強不足という話でもないと思います。それでもどうしてもこの手のミスを減らしたいときには、最後に四捨五入する数値が「4」とか「5」とかいう微妙なラインだった時には安全のためにもう一桁だけ余分に読んでおくといいよね、ということです。
物理という学問を習得することから考えると、あまりどうでもよくて、受験産業の負の側面だと私は思います。