■解答
問1 \(2l\) 問2 \(v=\displaystyle\frac{V}{l}(d_2-d_1)\) \(\Delta l=\displaystyle\frac{1}{2}(d_2-3d_1)\)
問3 \(2d_2-d_1\)
問4 \(L=2d_2\) 問5 \(l'=\displaystyle\frac{3}{4}l\)
■解説
問1
弦の波長を問われていますので、まずは気柱のことは置いておいて、弦にだけ注目しましょう。
いま、弦の振動は基本振動としていますので、
\(\lambda=2l\)
問2
弦と気柱が同時に扱われているので、ややこしさを感じていますが、弦は音源としての役割以上のことはしていません。なので、気柱の口の部分に、ある振動数を発する音源がある問題、としてとらえることができれば、そんなに極端に難しい問題を解かせようとしているわけではないことに気づきます。
では、弦はどのくらいの振動数の音を発しているのか、そこからこの問題を崩すことにしましょう。
弦について波の基本式を立てると
\(V=f\lambda\) より
\(f=\displaystyle\frac{V}{\lambda}\)
\(f=\displaystyle\frac{V}{2l}\)
となります。これが空中を伝わる音の振動数と一致します。
一方で、気柱のほうは、菅口から水面までの距離が\(d_1\)のときに基本振動し、\(d_2\)のときに3倍振動となりますので、その差\(d_2-d_1\)がちょうど\(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\)に相当します。
\(d_2-d_1=\displaystyle\frac{\lambda}{2}\) より
\(\lambda=2(d_2-d_1)\)
これを、気柱内の空気について波の基本式に代入します。このときの\(v\)は音速を表していて、弦を伝わる波の速さ\(V\)とは違う速さであることに注意してください。ただし、\(f\)は弦の振動数かつ空気中を伝わる音の振動数で、これらは一致しますので、同じものを使います。
\(v=f\lambda\)
\(v=\displaystyle\frac{V}{2l}×2(d_2-d_1)\)
\(v=\displaystyle\frac{V}{l}(d_2-d_1)\)
また、開口端補正は、基本振動のときから考えるのがいいかもしれません。
\(\Delta l=\displaystyle\frac{\lambda}{4}-d_1\)
\(\Delta l=\displaystyle\frac{1}{2}(d_2-d_1)-d_1\)
\(\Delta l=\displaystyle\frac{1}{2}d_2-\frac{3}{2}d_1\)
\(\Delta l=\displaystyle\frac{1}{2}(d_2-3d_1)\)
問3
基本振動から3倍振動になるとき、水面は\(d_2-d_1\)だけ下げられました。
なので、3倍振動から5倍振動になるときも、同じだけ水面を下げればいいことがわかります。
このとき、菅口からの距離を\(l_3\)とすると、
\(l_3=d_2+(d_2-d_1)\)
\(l_3=2d_2-d_1\)
問4
閉管5倍振動をしているところから水面を下げて、7倍振動を迎えることなく開管に切り替わりました。
これで共鳴をするためには、開管3倍振動の状態を作ればよいことになります。
(※閉管だと、解なしですが6倍振動の状態の作図ができます)
このとき、管の上下が腹、管内に2つの腹を持っている状態ですので、定常波の部分の全長は\(\displaystyle\frac{3}{2}\lambda\)となります。
ただし、今問われている部分は、管の長さだけですので、上下の開口端補正の分は減らしておかなければいけません。すると、管の全長\(L\)は、
\(L=\displaystyle\frac{3}{2}\lambda-2\Delta l\)
\(L=\displaystyle\frac{3}{2}×2(d_2-d_1)-2×\frac{1}{2}(d_2-3d_1)\)
\(L=3(d_2-d_1)-(d_2-3d_1)\)
\(L=3d_2-3d_1-d_2+3d_1\)
\(L=2d_2\)
となりました。図3から考えるに、確かに\(d_2\)を上下に折り返したら共鳴図になりますので、計算が終わってから後付けで納得できるような数値設定となっていたことに気づきます。
問5
弦の長さを短くしていくと、弦から発せられる音は高くなっていきます。
次第に共鳴しなくなってから、ある長さのときに再び共鳴をした、ということなので、気柱は開管3倍振動から開管4倍振動になったということが読み取れます。
開管3倍振動のときの振動数を\(f\)、開管4倍振動のときの振動数を\(f'\)とすると、
\(f'=\displaystyle\frac{4}{3}f\)
となっているということですので、元の振動数\(f\)を代入すると、
\(f'=\displaystyle\frac{4}{3}×\frac{V}{2l}\)
一方で、弦が短くなって、長さ\(l'\)となったときに弦から発せられる音の振動数は、弦の張り方が変わらず、弦を伝わる波の速度が変わりませんので、
\(V=f'\lambda'\) より
\(V=f'×2l'\)
\(f'=\displaystyle\frac{V}{2l'}\)
となります。これらの振動数は一致しますので、
\(\displaystyle\frac{4}{3}×\frac{V}{2l}=\frac{V}{2l'}\)
\(l'=\displaystyle\frac{3}{4}l\)
となりました。
補足
弦を伝わる波の速さは
\(V=\sqrt{\displaystyle\frac{S}{\rho}}\)
と書けます。ここで、\(S\)は張力、\(\rho\)は弦の線密度で、\(1m\)あたり何\(kg\)の重さの弦か、ということを表します。シンプルにいうと弦の太さのようなものですね。
「弦を張る力を変えないように」という条件は、この式でいう張力\(S\)を変えないということを意味していて、弦の長さを変える間、弦の種類や太さを変えながら実験しているわけではありませんので、要は「弦を伝わる波の速さを一定に保って」という条件の言い換え表現です。