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剛体5 偶力

偶力

同じ大きさで、逆向きに働いているけれど、同一直線上にはない力のことを「偶力」といいます。

 

偶力は図のように2つの力で1対のものとして考えます。

偶力の合力はゼロということになります。また、合力がゼロですが、力のモーメントはゼロでない、という特性を持つことになります。

 

なので、力のはたらきとしては、物体を平行移動させることはないが、回転運動させることはできる、ということになります。

 

これが偶力と、その特性です。

 

偶力の計算例

では、偶力がつくる力のモーメントがいくらになるのか、ということを考えてみましょう。

 

図のように、長さ\(0.80m\)で一様な棒の両端に偶力がかかっています。

これらがつくる力のモーメントを考えるとき、棒の中心は動きませんので、仮にここを原点と考えましょう。

 

力のモーメントは「力の大きさ×棒の長さ」で計算できますが、力の大きさは棒に対して垂直な成分だけを考えます。

いま、力の棒に垂直な成分は\(0.75[N]\)ですね。

 

左の力が作る力のモーメントは、

 \(M=FL\) より

 \(M_左=0.75×0.40\)

 \(M_左=0.30[N・m]\)

 

右の力が作る力のモーメントも、

 \(M_右=0.75×0.40\)

 \(M_右=0.30[N・m]\)

 

となりますので、その和は

 \(M=M_左+M_右\)

 \(M=0.30+0.30\)

 \(M=0.60[N・m]\)

 

と求まります。

 

ですが、偶力を計算すると、左右どちらもいつでも同じ値になります。

なので2力を1対としてまとめて考えて、

 

\(0.75[N]\)の偶力が、長さ\(0.80[m]\)の棒に加わっている、と解釈して、

 \(M=0.75×0.80\)

 \(M=0.60[N・m]\)

 

としてしまった方が圧倒的に計算が速くなります。

これを偶力のモーメントの式、とすることにします。

 

 

▼偶力のモーメント

 \(M=FL\) \([N・m]\)

 \(F[N]\):偶力  \(L[m]\):棒の長さ(偶力間の直線距離)