運動量保存則
2つの物体が衝突するとき、その運動量の合計が常に一定であるという法則を「運動量保存則」といいます。
衝突する瞬間には、お互いが力を及ぼし合いますが、この2物体以外のところから何も力が加わらない場合に、運動量は保存します。
少し難しく言うと、「物体系に外力が加わらないか、加わっても合力がゼロとなるとき」に運動量が保存する、ということになります。
そりゃ、衝突するしないに関わらず、面に摩擦があったり、空気抵抗を受けていたり、片方の小球だけ引っ張って加速させていたりすれば、簡単に運動量の値は変わってきますからね。
ここでは、そういった条件は全部なしということにしましょう。
速度\(v_1\)で直線上を運動する質量\(m_1\)の小球\(A\)が、同じ直線上を速度\(v_2\)で運動する質量\(m_2\)の小球\(B\)に衝突し、速度がそれぞれ\(v_1'\)、\(v_2'\)となったとします。
小球\(A\)と\(B\)が衝突する時間を\(\Delta t\)、小球\(A\)が小球\(B\)に及ぼす力を\(F\)とします。
このとき、それぞれの小球について、運動量と力積の関係を立式すると、
■小球\(A\)について
\(m_1v_1'-m_1v_1=-F\Delta t\)
■小球\(B\)について
\(m_2v_2'-m_2v_2=F\Delta t\)
となり、これらの辺々を足すと、
\(m_1v_1'-m_1v_1+m_2v_2'-m_2v_2=0\)
\(m_1v_1+m_2v_2=m_1v_1'+m_2v_2'\)
となります。見ての通り、力積の項が消えて、衝突前後で運動量の和が等しいということが示されます。
これを「運動量保存則」といいます。
衝突するときに、お互いがどのくらいの大きさの力を及ぼし合っているかということも、どのくらいの時間で衝突しているかも、どちらも無関係になりますので、とても便利な式ですね。