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1997京大Ⅱ

■解答

(ア) \(\displaystyle\frac{2\pi M}{qB}\)  (イ) \(\displaystyle\frac{qB}{2\pi M}\)  (ウ) \(qV_0\)

(エ) \(\displaystyle\frac{q^2B^2R^2}{2M}\)  (オ) \(\displaystyle\frac{R}{\sqrt{2}}\) (カ) \(eB_0R\)

(キ) \(\displaystyle\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)  (ク) \(\displaystyle\frac{1}{2\pi R}・\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)  (ケ) \(\displaystyle\frac{e}{2\pi R}\Delta \Phi\)

(コ) \(\displaystyle\frac{1}{2\pi R^2}\Delta \Phi\)

■解説

(ア)

円運動の運動方程式より

 

 \(M\displaystyle\frac{v^2}{r}=qvB\)

 

 \(v=\displaystyle\frac{qBr}{M}\)

 

これを周期の式に代入すると

 

 \(T=\displaystyle\frac{2\pi r}{v}\)

 

  \(=\displaystyle\frac{2\pi rM}{qBr}\)

 

  \(=\displaystyle\frac{2\pi M}{qB}\)

 

 

(イ)

荷電粒子の周期を\(T\)、交流の周期を\(T'\)とすると、荷電粒子が半回転する時間\(\displaystyle\frac{T}{2}\) ごとに交流の電圧が入れ替わればいいので、

 \(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{T'}{2}\)

となっていればいいことになります。

 

交流周期\(T'\)と交流振動数\(f\)は逆数関係にありますので、

 \(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{T'}{2}\)

となっていればいいということは、

 \(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{1}{2f}\)

となっていればいいということです。

 

ところで交流周期についてですが、荷電粒子が半回転する間に、電源の方は3回、5回、7回と奇数回だけ正負が入れ替わっても実験が成立します。なので、

 \(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{T'}{2},\frac{3T'}{2},\frac{5T'}{2},\frac{7T'}{2}...\)

つまり

 \(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{1}{2f},\frac{3}{2f},\frac{5}{2f},\frac{7}{2f}...\)

となっていても成立します。

 

ですが、今問われているのは、このうちの最小値ですので、結局は最初のとおり

 \(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{1}{2f}\)

となっていれば十分ですね。

 

このとき、

 \(f=\displaystyle\frac{1}{T}=\frac{qB}{2\pi M}\)

となります。

 

 

(ウ)

本来は、

 \(U=qV(t)\)

となり、電圧は時間の関数ですが、

 \(U=qV_0\cos(2\pi ft)\)

において、\(t=0\)のときなので、

 \(U=qV_0\)

 

 

(エ)

問題文にある「この時」は半径が\(R\)のときのことです。

円運動方程式から、

 \(M\displaystyle\frac{v_R^2}{R}=qv_RB\)

 

 \(Mv_R=qBR\)

 

 \(M^2v_R^2=q^2B^2R^2\)

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}Mv_R^2=\frac{q^2B^2R^2}{2M}\)

 

 

(オ)

(ウ)と同様に考えると、

 \(U=qV\left(\displaystyle\frac{1}{6f}\right)\)

 

  \(=qV_0\cos\left( 2\pi f・\displaystyle\frac{1}{6f}\right)\)

 

  \(=qV_0\cos\displaystyle\frac{\pi}{3}\)

 

  \(\displaystyle\frac{1}{2}qV_0\)

 

つまり、最初に通過する荷電粒子の半分のエネルギーしか得ないので、(エ)より最終的に持つエネルギー量は、

 \(U'=\displaystyle\frac{1}{2}・\frac{1}{2}Mv_R^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{q^2B^2R^2}{4M}\)

 

となります。一方で、(エ)と同様に運動方程式を解くと、

 \(\displaystyle\frac{1}{2}Mv_R'^2=\frac{q^2B^2R'^2}{2M}=U' \)

 

となるので

 \(\displaystyle\frac{q^2B^2R'^2}{2M}=\frac{q^2B^2R^2}{4M}\)

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}R'^2=\frac{1}{4}R^2\)

 

 \(R'^2=\displaystyle\frac{1}{2}R^2\)

 

 \(R'=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}R\)

 

 

(カ)

円運動していればとりあえず運動方程式ですね。

 \(m\displaystyle\frac{v_0^2}{R}=ev_0B_0\)

 

 \(mv_0=eB_0R=p_0\)

 

 

(キ)

ファラデーの電磁誘導の公式から

 \(|V|=N\displaystyle\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\) より、\(N=1\)なので

 

 \(|V|=\displaystyle\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)

 

 

(ク)

 \(V=Ed\)を使います。\(d\)を円周の長さとして、

 \(E=\displaystyle\frac{V}{d}\)

  \(=\displaystyle\frac{1}{2\pi R}・\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)

 

 

(ケ)

円周に沿って加速度\(a\)を持つとして運動方程式を立てると、

 \(ma=F\) より

 \(ma=eE\)

 \(a=\displaystyle\frac{e}{m}・\frac{1}{2\pi R}・\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)

 

となります。この加速度で円周に沿って\(\Delta t\)だけ加速すると、

 \(\Delta v=a\Delta t\)

  \(=\displaystyle\frac{e\Delta \Phi}{2\pi Rm}\)

 

となり、運動量は

 \(\Delta p=\displaystyle\frac{e}{2\pi R}\Delta Phi\)

 

になります。ただ、単純に円周に沿って加速していくと、当然ながら円軌道は維持できません。磁場を変化させていく必要性が出てきます。それを求めるのが(コ)ですね。

 

 

(コ)

 \(p_0=eB_0R\) から

 \(\Delta p=e\Delta B・R\) とします。

 \(e\Delta B・R=\displaystyle\frac{e}{2\pi R}\Delta \Phi\)

 

 \(\Delta B=\displaystyle\frac{1}{2\pi R^2}\Delta \Phi\)