■解答
(ア) \(\displaystyle\frac{2\pi M}{qB}\) (イ) \(\displaystyle\frac{qB}{2\pi M}\) (ウ) \(qV_0\)
(エ) \(\displaystyle\frac{q^2B^2R^2}{2M}\) (オ) \(\displaystyle\frac{R}{\sqrt{2}}\) (カ) \(eB_0R\)
(キ) \(\displaystyle\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\) (ク) \(\displaystyle\frac{1}{2\pi R}・\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\) (ケ) \(\displaystyle\frac{e}{2\pi R}\Delta \Phi\)
(コ) \(\displaystyle\frac{1}{2\pi R^2}\Delta \Phi\)
■解説
(ア)
円運動の運動方程式より
\(M\displaystyle\frac{v^2}{r}=qvB\)
\(v=\displaystyle\frac{qBr}{M}\)
これを周期の式に代入すると
\(T=\displaystyle\frac{2\pi r}{v}\)
\(=\displaystyle\frac{2\pi rM}{qBr}\)
\(=\displaystyle\frac{2\pi M}{qB}\)
(イ)
荷電粒子の周期を\(T\)、交流の周期を\(T'\)とすると、荷電粒子が半回転する時間\(\displaystyle\frac{T}{2}\) ごとに交流の電圧が入れ替わればいいので、
\(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{T'}{2}\)
となっていればいいことになります。
交流周期\(T'\)と交流振動数\(f\)は逆数関係にありますので、
\(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{T'}{2}\)
となっていればいいということは、
\(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{1}{2f}\)
となっていればいいということです。
ところで交流周期についてですが、荷電粒子が半回転する間に、電源の方は3回、5回、7回と奇数回だけ正負が入れ替わっても実験が成立します。なので、
\(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{T'}{2},\frac{3T'}{2},\frac{5T'}{2},\frac{7T'}{2}...\)
つまり
\(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{1}{2f},\frac{3}{2f},\frac{5}{2f},\frac{7}{2f}...\)
となっていても成立します。
ですが、今問われているのは、このうちの最小値ですので、結局は最初のとおり
\(\displaystyle\frac{T}{2}=\frac{1}{2f}\)
となっていれば十分ですね。
このとき、
\(f=\displaystyle\frac{1}{T}=\frac{qB}{2\pi M}\)
となります。
(ウ)
本来は、
\(U=qV(t)\)
となり、電圧は時間の関数ですが、
\(U=qV_0\cos(2\pi ft)\)
において、\(t=0\)のときなので、
\(U=qV_0\)
(エ)
問題文にある「この時」は半径が\(R\)のときのことです。
円運動方程式から、
\(M\displaystyle\frac{v_R^2}{R}=qv_RB\)
\(Mv_R=qBR\)
\(M^2v_R^2=q^2B^2R^2\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}Mv_R^2=\frac{q^2B^2R^2}{2M}\)
(オ)
(ウ)と同様に考えると、
\(U=qV\left(\displaystyle\frac{1}{6f}\right)\)
\(=qV_0\cos\left( 2\pi f・\displaystyle\frac{1}{6f}\right)\)
\(=qV_0\cos\displaystyle\frac{\pi}{3}\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}qV_0\)
つまり、最初に通過する荷電粒子の半分のエネルギーしか得ないので、(エ)より最終的に持つエネルギー量は、
\(U'=\displaystyle\frac{1}{2}・\frac{1}{2}Mv_R^2\)
\(=\displaystyle\frac{q^2B^2R^2}{4M}\)
となります。一方で、(エ)と同様に運動方程式を解くと、
\(\displaystyle\frac{1}{2}Mv_R'^2=\frac{q^2B^2R'^2}{2M}=U' \)
となるので
\(\displaystyle\frac{q^2B^2R'^2}{2M}=\frac{q^2B^2R^2}{4M}\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}R'^2=\frac{1}{4}R^2\)
\(R'^2=\displaystyle\frac{1}{2}R^2\)
\(R'=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}R\)
(カ)
円運動していればとりあえず運動方程式ですね。
\(m\displaystyle\frac{v_0^2}{R}=ev_0B_0\)
\(mv_0=eB_0R=p_0\)
(キ)
ファラデーの電磁誘導の公式から
\(|V|=N\displaystyle\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\) より、\(N=1\)なので
\(|V|=\displaystyle\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)
(ク)
\(V=Ed\)を使います。\(d\)を円周の長さとして、
\(E=\displaystyle\frac{V}{d}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2\pi R}・\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)
(ケ)
円周に沿って加速度\(a\)を持つとして運動方程式を立てると、
\(ma=F\) より
\(ma=eE\)
\(a=\displaystyle\frac{e}{m}・\frac{1}{2\pi R}・\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)
となります。この加速度で円周に沿って\(\Delta t\)だけ加速すると、
\(\Delta v=a\Delta t\)
\(=\displaystyle\frac{e\Delta \Phi}{2\pi Rm}\)
となり、運動量は
\(\Delta p=\displaystyle\frac{e}{2\pi R}\Delta Phi\)
になります。ただ、単純に円周に沿って加速していくと、当然ながら円軌道は維持できません。磁場を変化させていく必要性が出てきます。それを求めるのが(コ)ですね。
(コ)
\(p_0=eB_0R\) から
\(\Delta p=e\Delta B・R\) とします。
\(e\Delta B・R=\displaystyle\frac{e}{2\pi R}\Delta \Phi\)
\(\Delta B=\displaystyle\frac{1}{2\pi R^2}\Delta \Phi\)