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1986京大Ⅰ

■解答

(イ) \(\displaystyle\frac{mv_B^2}{r}\)  (ロ) \(G\displaystyle\frac{Mm}{R_B^2}\)  (ハ) \(\displaystyle\frac{v_B^2R_B^2}{GM}\)

(ニ) \(\displaystyle\frac{v_A^2R_A^2}{GM}\)  (ホ) \(\displaystyle\frac{R_B}{R_A}\) (ヘ) \(R_A\)

(ト) \(R_B\)  (チ) \(\displaystyle\sqrt{\frac{GMR_AR_B}{2(R_A+R_B)}}\)  (リ) \(-\displaystyle\frac{GMm}{R_A+R_B}\)

(ヌ) \(\displaystyle\frac{\pi ab}{S}\)  (ル) \(\pi\displaystyle\sqrt{\frac{(R_A+R_B)^3}{2GM}}\)  (ヲ) \(\displaystyle\frac{4\pi^2}{GM}\)

(ワ) \(p\)  (カ) \(\displaystyle\frac{p^2R_AR_B}{R_A-(p^2-1)R_B}\)  (ヨ) \(\displaystyle\sqrt{\frac{R_A+R_B}{R_B}}\)

(タ) \(0\)

■解説

(イ)

B地点では、半径\(r\)の円軌道の一部とみなせるので、

  \(m\displaystyle\frac{v_B^2}{r}\)

とします。この半径は曲率半径といい、どの程度カーブを描いているかを表す量です。

半径を\(R_B\)と取らないことに注意してください。

 

 

(ロ)

これは公式そのままでよさそうです。

 \(G\displaystyle\frac{Mm}{R_B^2}\)

 

 

(ハ)

よって、円運動方程式は

 \(m\displaystyle\frac{v_B^2}{r}=G\frac{Mm}{R_B^2}\)

 

 \(r=\displaystyle\frac{v_B^2R_B^2}{GM}\)

 

 

(ニ)

同様に(イ)(ロ)(ハ)を辿っていきます。

A地点での曲率半径を\(r'\)とすると、\(v_B\)を\(v_A\)に、\(R_B\)を\(R_A\)に置換すれば計算自体は省略することができて

 \(r'=\displaystyle\frac{v_A^2R_A^2}{GM}\)

 

となります。こういった計算は時間短縮のためにも置換して対応するのがいいと思います。

 

 

(ホ)

A地点とB地点は、ある楕円軌道の対面なので、曲率半径は対称性から等しくなる地点です。

 つまり\(r=r'\)なので、

 \(\displaystyle\frac{v_B^2R_B^2}{GM}=\frac{v_A^2R_A^2}{GM}\)

 

 \(v_B^2R_B^2=v_A^2R_A^2\)

 

 \(v_BR_B=v_AR_A\)

 

 \(v_A=\displaystyle\frac{R_B}{R_A}v_B\)

となり、倍数がわかります。

 

 

(ヘ)

面積速度を\(S\)とすると、

 \(S=\displaystyle\frac{1}{2}R_Av_A\)

なので、

 \(v_A=\displaystyle\frac{2S}{R_A}\)

となります。

 

 

(ト)

(ヘ)と同様に、

 \(v_B=\displaystyle\frac{2S}{R_B}\)

となります。

 

 

(チ)

一見すると力学的エネルギー保存則から面積速度の法則が導けるのかと戸惑う問題ですが、面積速度の式

 \(S=\displaystyle\frac{1}{2}R_Av_A\)

において、\(v_A\)を代入しなさい、というだけの問題です。

\(v_A\)を求めるには力学的エネルギー保存則を使うことになります。

 

A地点とB地点で力学的エネルギー保存則を立式すると

 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv_A^2-G\frac{Mm}{R_A}=\frac{1}{2}mv_B^2-G\frac{Mm}{R_B}\)

 

 \(\displaystyle\frac{1}{2}v_A^2-\frac{1}{2}v_B^2=\frac{GM}{R_A}-\frac{GM}{R_B}\)

 

 \(v_A^2-\displaystyle\frac{R_A^2}{R_B^2}v_A^2=2GM\left(\frac{1}{R_A}-\frac{1}{R_B}\right)\)

 

 \(\displaystyle\frac{R_B^2-R_A^2}{R_B^2}v_A^2=2GM\frac{R_B-R_A}{R_AR_B}\)

 

 \(v_A^2=\displaystyle\frac{R_B^2}{R_B+R_A}・2GM\frac{1}{R_AR_B}=\frac{2GMR_B}{R_A(R_A+R_B)}\)

 

となり、\(v_A\)の値が分かりますので、これを面積速度の式に代入すればいいということになります。

 \(S=\displaystyle\frac{1}{2}R_Av_A\)

 

 \(S=\displaystyle\frac{R_A}{2}\sqrt{\displaystyle\frac{2GMR_B}{R_A(R_A+R_B)}}\)

 

 \(S=\displaystyle\sqrt{\frac{GMR_AR_B}{2(R_A+R_B)}}\)

 

 

(リ)

\(v_A\)が求まりましたので、いろいろな式に代入して変形することができます。

ロケットの力学的エネルギーの式に代入すると、

 \(E=\displaystyle\frac{1}{2}mv_A^2-\frac{GMm}{R_A}\)

 

 \(E=\displaystyle\frac{m}{2}・\frac{2GMR_B}{R_A(R_A+R_B}-\frac{GMm(R_A+R_B)}{R_A(R_A+R_B)}\)

 

 \(E=GMm\displaystyle\frac{R_B-(R_A+R_B)}{R_A(R_A+R_B)}\)

 

 \(E=-\displaystyle\frac{GMm}{R_A+R_B}\)

 

 

(ヌ)

面積速度というのは、そもそも、惑星が単位時間あたりに掃く面積のことを言いますので、元の式は

 \(v=\displaystyle\frac{\Delta S}{\Delta t}\)

です。

この式において、面積速度を\(v\)ではなく\(S\)、ロケットが掃く面積を楕円全体として\(\Delta S=\pi ab}\)、掃く時間も周回時間をすべて取って\(\Delta t=T\)と考えます。すると、

 \(S=\displaystyle\frac{\pi ab}{T}\)

となりますので、

 \(T=\displaystyle\frac{\pi ab}{S}\)

です。

 

 

(ル)

そのため、\(S\)に対する式(チ)を代入すると、

 \(T=\displaystyle\frac{\pi ab}{S}\)

 \(S=\displaystyle\sqrt{\frac{GMR_AR_B}{2(R_A+R_B)}}\)

から

 \(T=\pi ab\displaystyle\sqrt{\frac{2(R_A+R_B)}{GMR_AR_B}}\)

 

 \(T=\pi \displaystyle\frac{R_A+R_B}{2}\sqrt{R_AR_B}\sqrt{\frac{2(R_A+R_B)}{GMR_AR_B}}\)

 

 \(T=\pi\displaystyle\sqrt{\frac{(R_A+R_B)^3}{2GM}}\)

 

となります。

 

 

(ヲ)

定数\(C\)を出すには、あとは\(a\)さえわかれば代入できます。

 \(R_A+R_B=2a\) なので

 \(T^2=\pi^2\displaystyle\frac{(2a)^3}{2GM}\)

 

 \(\displaystyle\frac{T^2}{a^3}=\frac{8\pi^2}{2GM}=\frac{4\pi^2}{GM}\)

 

 

(ワ)

面積速度の式において、\(v_A\)を\(p\)倍します。

 \(S'=\displaystyle\frac{1}{2}R_A・pv_A\) より

 \(S'=pS\)

 

 

(カ)

(チ)の計算過程で

 \(v_A^2=\displaystyle\frac{2GMR_B}{R_A(R_A+R_B)}\)

が求まっています。

この式において、\(v_A\)が\(pv_A\)になると、\(R_B\)が別の距離\(R'_B\)になることから、

 \(p^2v_A^2=\displaystyle\frac{2GMR'_B}{R_A(R_A+R'_B)}\)

となり、これを式変形して

 \(R'_B=\displaystyle\frac{p^2v_A^2R_A^2}{2GM-p^2v_A^2R_A}\)

を得ます。

 

また、ここに元の(チ)の

 \(v_A^2=\displaystyle\frac{2GMR_B}{R_A(R_A+R_B)}\)

を代入すると、\(v_A\)を消去することができて、

 

 \(R'_B=\displaystyle\frac{p^2R_AR_B}{R_A+R_B-p^2R_B}\)

 

となります。

 

 

(ヨ)

\(R'_B \rightarrow \infty\) のとき、\((R_A+R_B-p^2R_B)\rightarrow 0\) となりますので、形式上、

 \((R_A+R_B-p^2R_B)=0\)

としてしまえば、 

 \(p^2R_B=R_A+R_B\)

 

 \(p=\displaystyle\sqrt{\frac{R_A+R_B}{R_B}}\)

 

と計算できます。

 

 

(タ)

無限遠に飛んで行ってしまえばそこがエネルギーの基準点ですので、\(0[J]\)です。