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2022京工繊Ⅰ

(1)

力学的エネルギー保存則より

 \(mgl(1-\cos\theta)=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)

 

 \(v=\sqrt{2gl(1-\cos\theta)}\)

 

 

(2)

最下点で、小球から見た座標系での力のつり合いの式を立てるといいでしょう。

 \(T=mg+m\displaystyle\frac{v^2}{l}\)

 

  \(=mg+\displaystyle\frac{m}{l}・2gl(1-\cos\theta)\)

 

  \(=mg+2mg(1-\cos\theta)\)

 

  \(=3mg-2mg\cos\theta\)

 

  \(=mg(3-2\cos\theta)\)

 

静止している座標系から見たときの向心力が張力に相当する、という考え方で解く方法もありますが、この問題の場合は小球とともに動く座標系(小球の上に観測者がいる系)を考えて、遠心力と重力の和が、張力の大きさとつりあう、と考える方が断然簡単だと思います。

 

 

(3)

衝突の問題が出てきたら、「運動量保存則」と「反発係数」の式を連立して解きます。

運動量保存則は、

 \(mv=mv_A+2mv_B\) ―――(①)

また、反発係数の式は、反発係数\(e\)が数値として与えられているので、

 \(\displaystyle\frac{1}{2}=\frac{v_B-v_A}{v}\) ―――(②)

 

となります。

②式より

 \(v_B-v_A=\displaystyle\frac{1}{2}v\)

 

 \(v_A=v_B-\displaystyle\frac{1}{2}v\)

 

としておいて、①式に代入すると、

 \(mv=m\left(v_B-\displaystyle\frac{1}{2}v\right)+2mv_B\)

 

 \(v=3v_B-\displaystyle\frac{1}{2}v\)

 

 \(3v_B=\displaystyle\frac{3}{2}v\)

 

 \(v_B=\displaystyle\frac{1}{2}v\)

 

となります。また、ここでは問われていませんが、これを元の式に代入することで、

 \(v_A=0\)

であることもついでに分かります。これは計算結果から出てくるものですが、直感に反する結果かもしれません。

ですが、計算してそうなら、そうなんです。

 

 

(4)

 (3)より、\(v_A=0\)なので、

 \(|\Delta p|=mv\)

 

 

(5)

ここでは力学的エネルギーの変化量ではなく、減少量が聞かれています。ふつう衝突の際にエネルギーを失いますので、明らかにエネルギーは減少します。なので、計算した結果は、変化量なら負、減少量なら正のなることがまず即断できる、という前提で解きましょう。

計算の末、明らかに符号が間違っている場合は、問題文の読み取りに原因があります。

この問題では正の値になるはずです。エネルギーの差を求めることで減少量を知るために、

 

 \(-\Delta E=\)前-後

 

として計算しましょう。

 

 \(-\Delta E=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2-\frac{1}{2}・2m・\left(\displaystyle\frac{1}{2}v \right)^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2-\frac{1}{4}mv^2\)

 

  \(=\displaystyle\frac{1}{4}mv^2\)

 

 

(6)

「摩擦面を通過する時間」が問われたときは「力積と運動量の関係」を使います。

 \(mv+f\Delta t=mv'\)

という関係式のことです。

 

動摩擦力が\(f'=-\mu'・2m・g\)で表せますので、

 \(2m・\displaystyle\frac{1}{2}v-\mu'・2mgt=0\)

として、

 

 \(\mu'gt=\displaystyle\frac{1}{2}v\)

 

 \(t=\displaystyle\frac{1}{2\mu'g}\sqrt{2gl(1-\cos\theta)}\)

 

 

(7)

「摩擦面を通過する距離」が問われたときは「エネルギー保存則」を使います。

 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2+f\Delta x=\frac{1}{2}mv'^2\)

という関係式のことです。

 

こちらも動摩擦力が\(f'=-\mu'・2m・g\)で表せますので、すべった距離を\(L\)とおいて

 \(\displaystyle\frac{1}{2}・2m\left(\displaystyle\frac{1}{2}v\right)^2=\mu'・2mgL\)

として、

 

 \(\mu'gL=\displaystyle\frac{1}{8}v^2\)

 

 \(L=\displaystyle\frac{1}{8\mu'g}・2gl(1-\cos\theta)\)

 

  \(=\displaystyle\frac{l}{4\mu'}(1-\cos\theta)\)