(ア)
導出をするレベルから学習していると大変ですので、ここでは電流の公式ありきでいきましょう。
\(I=envS\)
(イ)
金属導体内では一様な電場が形成されます。
\(V=Ed\) より
\(V=El\) としておいて
\(E=\displaystyle\frac{V}{l}\)
(ウ)
電場内に電子を置くと、静電気力\(f=qE\)をうけて電子は加速します。ところが原子核と衝突をすることで実質的に抵抗を受けて進みますので、ちょうど空気中を空気抵抗を受けながら落下する雨滴のように、終端速度にたどり着き、等速運動で動くことになります。
この様子を力のつり合いの式で表現すると、
\(eE=kv\)
となります。電気量\(q\)が、電子の電気素量\(e\)に代わり、空気抵抗は問題文にある通り\(kv\)としました。
これを\(v\)について解くと
\(v=\displaystyle\frac{eE}{k}\)
さらに、(イ)で電場の大きさが求まっていますので、代入して、
\(v=\displaystyle\frac{eV}{kl}\)
(エ)
問題文の誘導に乗っかる形で、(ア)の式に(ウ)を代入しましょう。
\(I=en\displaystyle\frac{eV}{kl}S\)
\(I=\displaystyle\frac{e^2nVS}{kl}\)
(オ)
オームの法則\(V=RI\)より、
\(R=\displaystyle\frac{V}{I}\)
となりますので、(エ)で求まった値の\(V\)以外の部分が全て\(\displaystyle\frac{1}{R}\)を意味することになります。
よって
\(R=\displaystyle\frac{kl}{e^2nS}\)
(カ)
抵抗値の式は、抵抗率を用いると、
\(R=\rho\displaystyle\frac{l}{S}\)
と書けます。
これと(オ)を比較すると、\(\displaystyle\frac{l}{S}\)以外の部分が抵抗率\(\rho\)を表すことになりますので、
\(\rho=\displaystyle\frac{k}{e^2n}\)
(キ)
これも(ア)と同様に、導出するのではなく、公式ありきでいきます。
\(\rho=\rho_0(1+\alpha T)\)
(ク)
ジュール熱は、電力と時間の積で表されます。電力は電圧と電流の積ですので、
\(Q=VIt\)
(ケ)
(ウ)を解くときにも触れましたが、静電気力は\(f=qE\)です。いま電子を考えていますので\(q\)を\(e\)として、さらに電場は(イ)で求まっていますので、
\(f=eE=\displaystyle\frac{eV}{l}\)
(コ)
電子が等速度\(v\)で時間\(t\)だけ動いたとすると、その移動距離は
\(x=vt\)
となります。長文ですので読解しきれなかった人には難しいかもしれませんが、単独では全然なんてことない問題が急に現れています。
(サ)
導体中の自由電子の数は、単位体積当たりの自由電子の数が\(n\)で、導体の体積が底面積\(S\)と長さ\(l\)から\(Sl\)と求められますので、
\(N=nSl\)