(1)
一体化する衝突問題です。質量\(m\)の弾丸が質量\(3m\)の木材にぶつかって、質量\(4m\)で一体化します。
このときの速さを\(V\)とすると、運動量保存則から、
\(mv_0=4mV\)
\(V=\displaystyle\frac{v_0}{4}\)
(2)
運動量と力積の関係を計算します。
「衝突前の運動量+加えた力積=衝突後の運動量」
になりますので、力積が摩擦力によって負の量になっていることに気を付けると、
\(mv_0-F\Delta t=mV\)
となります。一体化したときは全体では質量\(4m\)ですが、今は弾丸だけに注目していますので、\(m\)のままでいいです。
ここに(1)を代入して計算を進めると、
\(mv_0-F\Delta t=m・\displaystyle\frac{v_0}{4}\)
\(F\Delta t=\displaystyle\frac{3}{4}mv_0\)
\(\Delta t=\displaystyle\frac{3mv_0}{4F}\)
(3)
衝突前(一体化前)の力学的エネルギーは
\(\displaystyle\frac{1}{2}mv_0^2\)
衝突後(一体化後)の弾丸と木材の力学的エネルギーの合計は
\(\displaystyle\frac{1}{2}・4mV^2\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}・4m・\left(\frac{v_0}{4}\right)^2\)
\(\displaystyle\frac{1}{8}mv_0^2\)
ここから、失われた全力学的エネルギーを計算します。
衝突前のエネルギーの方が大きいですので、大きい数から小さい数を引くことで求めます。
模範解答では\(\Delta E\)を用いていますが、ここではいわゆる変化量(あと-まえ)としての「デルタ」ではなく、失われた量(まえ-あと)として、計算されていることに気を付けてください。
\(\Delta E=\displaystyle\frac{1}{2}mv_0^2-\frac{1}{8}mv_0^2\)
\(\Delta E=\displaystyle\frac{3}{8}mv_0^2\)
となります。
また、ここで失われたエネルギーは弾丸が木材にめり込むときに、弾丸が木材にした仕事の分に相当します。
より具体的に言うと、「摩擦力×めり込んだ距離」ということになり、これらがおそらく熱エネルギーだったりとか、音エネルギーだったりとか、木材の細胞を縮めていく弾性エネルギーだったりとか、いろいろなものに変換されているんだと思います。
それらの総量は「摩擦力×めり込んだ距離」で表される量、ということになります。
この問題では、その後の熱エネルギーだとか音エネルギーだとかには興味がなくて、弾丸がどのくらいめり込んだかだけを計算してほしいので、
\(\Delta E=\) 摩擦力×めり込んだ距離
とすればいいのです。
めり込んだ距離を\(L\)として、
\(\Delta E=FL\)
としておいて、\(\Delta E\)を代入すると、
\(\displaystyle\frac{3}{8}mv_0^2=FL\)
\(L=\displaystyle\frac{3mv_0^2}{8F}\)
となりました。