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新リ物 基60

(1)

まず糸の張力\(S_1\)を作図して、それを水平方向と鉛直方向に分解しておきます。

 

これらがつり合うように、鉛直下向きに重力\(mg\)と、水平右向きに外力\(f\)を作図しておきます。

 

これでつりあいの作図が完成します。

 

つりあいの関係が見えたら、水平方向と鉛直方向について、それぞれつりあいの式を立式します。

 

 [水平] \(f\)\(=\)\(S_1 \sin\theta\)

 [鉛直] \(mg\)\(=\)\(S_1 \cos\theta\)

 

この式を解いて\(S_1\)を求めますが、外力\(f\)は自分で置いた文字なので解答に使えません。

 

すると、自動的に鉛直方向のつり合いの式を計算するしかなくなります。

 

よって、

 

 \(S_1=\displaystyle\frac{mg}{\cos\theta}\)

 

 

 

(2)

次に、糸\(b\)を静かに切ります。

 

すると、小球は円軌道を描いて運動を始めますので、軸をとりなおして、円軌道の接線方向と、張力がはたらく動径方向(半径の方向)に分解し直します。

 

糸を切った瞬間は小球はまだ動いていませんので、遠心力もかかっていません。

作図をした力だけでつりあいの関係を探してやるといいでしょう。

 

重力の分力のうち、糸の張力方向に分解した力の大きさは

 \(mg\cos\theta\)

ですので、これがそのまま張力の大きさとなります。

 \(S_2=mg\cos\theta\)

 

 

 

(3)

おもりが最下点にくるとき、張力の大きさは重力と遠心力の和になります。

 

遠心力は、\(m\displaystyle\frac{v^2}{r}\) という式で書かれますので、これを数式の中に入れるためには最下点での速さ\(v\)が必要だという方針が見えてきます。

 

そこでまず力学的エネルギー保存則を使って、最下点での小球の速さを計算しておいて、それを遠心力の式に代入することで、重力と遠心力の和を計算する、という流れで解いていこうと思います。

 

 

小球の高さから横線を補助線として引くと、図に示したような直角三角形ができ、縦の辺の長さが\(l\cos\theta\)であることがわかります。

 

最下点を高さの基準とすれば、糸の長さは\(l\)ですから、小球の高さは

 

 \(h=l-l\cos\theta\)

 \(h=l(1-\cos\theta)\)

 

ということが分かります。

よって、力学的エネルギー保存則より、

 

 \(mgh=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)

 

 \(mgl(1-\cos\theta)=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)

 

 \(2gl(1-\cos\theta)=v^2\)

 

となります。

ここから平方根を取って速さを計算しきってしまわなくても、今は遠心力の公式に代入するときの\(v^2\)さえあれば十分ですので、ここで計算を止めてしまって大丈夫です。

 

これを遠心力の式 \(m\displaystyle\frac{v^2}{r}\) に代入すると、

 

 \(m\displaystyle\frac{v^2}{r}=m\frac{2gl(1-\cos\theta)}{l}\)

 

 \(=2mg(1-\cos\theta)\)

 

となります。

 

以上から、「張力=重力+遠心力」の関係を用いて、

 

 \(S_3=mg+2mg(1-\cos\theta)\)

 

 \(S_3=mg+2mg-2mg\cos\theta\)

 

 \(S_3=3mg-2mg\cos\theta\)

 

 \(S_3=mg(3-2\cos\theta)\)

 

となります。