地球の表面すれすれ、とあります。これがどの程度なのか考えてみます。地球は自転しているので、遠心力の影響を受けて、赤道付近は膨れています。地球中心から極までの半径は約\(6357km\)、赤道までの半径は\(6378km\)で、ともに有効数字\(2\)ケタでは\(6400km\)となります。
仮に半径\(6400km\)を周回しても、これは有効数字から考えると「地表すれすれ」と言っても差し支えありませんが、現実には上空\(22~43km\)あたりの軌道ということになります。エベレストでも標高は約\(9km\)、飛行機が飛ぶ高度も最も高くてもせいぜい\(11km\)ですから、「地表すれすれ」で人工衛星が周回しても、何もぶつかるものはないくらいの高さとなっています。
この高さでは、重力は\(mg\)と考えても有効数字\(2\)ケタの範囲で正しいです。
(1)
半径\(R\)の円運動をしていて、向心力は\(mg\)とできます。
\(m\displaystyle\frac{v^2}{R}=mg\) より
\(v^2=gR\)
\(v=\sqrt{gR}\)
(2)
運動エネルギーは
\(K=\displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}m・gR\)
位置エネルギーは
\(U=-G\displaystyle\frac{Mm}{R}\)
\(=-\displaystyle\frac{gR^2・m}{R}\)
\(=-mgR\)
よって
\(E=\displaystyle\frac{1}{2}mgR-mgR\)
\(=-\displaystyle\frac{1}{2}mgR\)
(3)
無限に遠くに行くと、位置エネルギーの基準面に達するので、位置エネルギー\(=0\)となる。この位置で運動エネルギーが\(0\)以上であればいい。つまり、力学的エネルギー\(≧0\)であればいい。
加える力学的エネルギーを\(\Delta E\)とすると、軌道上と無限遠点で力学的エネルギー保存則は
\(-\displaystyle\frac{1}{2}mgR+\Delta E ≧0\)
\(\Delta E ≧\displaystyle\frac{1}{2}mgR\)
よって、少なくともエネルギーは\(\displaystyle\frac{1}{2}mgR\)あればいい。