ちょうつがいがなければ解けるのに、ちょうつがいが出てきた瞬間に解き方がわからなくなった、という声をよく聞きます。
ちょうつがいが出てきたら、棒の壁側の端点での摩擦が非常に強い状態だと解釈してください。
あとは棒が単に壁に寄りかかっているときと同じで、垂直抗力ももちろん加わります。
つまり、ちょうつがいのある所には、摩擦力と垂直抗力を作図することになります。そして、これらの合力をまとめて「抗力」と呼びます。通常、抗力は垂直抗力と異なり、壁や床に対して斜め向きであることが多いです。(たまたま垂直のこともあります)
問題文にあるように、重力、張力、それから抗力の水平成分と鉛直成分を作図します。
このとき、力がつり合っていますので、抗力と張力、それに重力の作用線が1点で交わります。
力がつり合うときには、3力の作用線が1点で交わる、というルールがありますので、そうなるように調整して作図してやるのがいいでしょう。
あとは、張力を鉛直方向と水平方向に分解して、いつものように、鉛直軸のつり合いの式と、水平軸のつり合いの式を立ててやればいいですね。
角度も30°と60°が与えられていますので、三角比を使うことなく、\(1:2:\sqrt{3}\)の比を駆使するだけで解けそうです。
水平方向のつり合いの式
\(R_x=\displaystyle\frac{1}{2}T\)
鉛直方向のつり合いの式
\(R_y+\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}T=W\)
ところが、未知数は\(R_x\)、\(R_y\)、\(T\)、\(W\)の4文字ありますので、\(R_x\)と\(R_y\)を一文字の\(R\)として見ても、未知数をすべて消すにはあと1本だけ式が足りません。
そこで、力のモーメントの式を持ってきます。
点Aまわりの力のモーメントのつりあいの式
\(T×\displaystyle\frac{1}{2}l=W×\frac{l}{2}×\frac{\sqrt{3}}{2}\)
これらを解くと、
\(T=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}W\)
\(R_x=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{4}W\) 右向き
\(R_y=\displaystyle\frac{1}{4}W\) 上向き
となります。