(1)
重力を作図したいとき、その重力の作用線と面との交点で垂直抗力を作図します。
図の緑の直角三角形に注目しましょう。
重力は物体の中心から作図しますので、重心から面まで垂線を引いたとすると、その長さは
\(\displaystyle\frac{a}{2}\)
となります。
また、角\(\theta\)の位置に注目すると、面上に来る辺はその\(\tan\theta\)倍になりますので、
\(\displaystyle\frac{a}{2}\tan\theta \)
となります。
重心から面まで引いた垂線の足は\(b\)の半分ですので、
\(\displaystyle\frac{b}{2} \)
です。なので、そこから \(\displaystyle\frac{a}{2}\tan\theta \) を引くと、
\(x=\displaystyle\frac{b}{2}-\frac{a\tan\theta}{2}\)
\(x=\displaystyle\frac{b-a\tan\theta}{2}\)
となります。
(2)
角度を急にしていくと、ちょうど重力の作用線が点\(A\)と重なるまでは何とか物体は斜面に張り付いていますが、これよりも角度を急にすると物体は傾いてしまいます。
一般的に重力の作用線と面との交点を考えたとき、この交点が物体と斜面との接面にいるうちは回転しませんが、物体と斜面との接面から外れると、もはや斜面が物体を支えることができなくなります。
この問題で重要になるのは、\(\theta\)の取り方です。図のように、重力の作用線が点\(A\)と重なるように作図したとします。ここで、なかなか\(\theta\)がうまく取れない人が多いですので、たどり方を確認してみましょう。
(1)で作図したように、まずは重力を素直に分解します。このときの\(\theta\)をどこに取っていたかを間違えずに作図します。\(\theta\)の場所が分からなくなったときは\(\theta=10°\)くらいの図をいったん作図すると、どこに\(\theta\)を書くべきか、取り違えることは無くなると思います。
そして、図のように平行線における錯角を利用すると、角\(A=\theta\)を作図することができます。
ここまで来たら終了ですね。あとは、その角を三角比で表すことになります。一般的には\(tan\theta\)を使って表現するのがいいでしょう。
\(tan\theta_2=\displaystyle\frac{b}{a}\)
(2別解)
(1)で垂直抗力を作図する点が、点Aから
\(x=\displaystyle\frac{b-a\tan\theta}{2}\)
だけ離れた位置であることが求まっていますが、この位置は必ず面内になければいけないはずです。
ということは、
\(x=\displaystyle\frac{b-a\tan\theta}{2}>0\)
であればいいわけですので、
\(\displaystyle\frac{b-a\tan\theta}{2}>0\)
\(b-a\tan\theta>0\)
\(b>a\tan\theta\)
\(\displaystyle\frac{b}{a}>\tan\theta\)
とすることもできます。
(3)
重力を分解すると、斜面に沿った向きに\(mg\sin\theta\)、斜面に垂直な向きに\(mg\cos\theta\)が作図されます。
物体が滑り出す直前には最大静止摩擦力\(\mu N\)より大きければいいので、
\(mg\sin\theta>\mu N\)
となります。これを式変形していくと、
\(mg\sin\theta>\mu mg\cos\theta\)
\(\sin\theta>\mu cos\theta\)
\(\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}>\mu\)
\(\mu<\tan\theta\)
となり、\(\tan\theta\)より小さければいいということになります。