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電磁気3 電界・電場

電界・電場

 電界・電場というのは、クーロン力(静電気力)がはたらく空間のことを表しています。なんで「電界」という言葉と「電場」という言葉があるかというと、どうやら「電界」は工学系の分野の専門用語で、「電場」は理学分野の専門用語として使われえているようなんですね。どちらも同じものを指しますので、自分で好きな方を使えばいいと思いますよ。私は理学系なので、ここでは「電場」で統一して話を進めていきますね。

 

 正電荷の近くのどこかに\(+1C\)の電荷を試しに置いたとします。すると、斥力がはたらいて正電荷から離れる向きにいくらかのクーロン力を受けるはずです。また別の場所に\(+1C\)を置いても、やっぱり正電荷から離れる向きにいくらかのクーロン力を受けます。この力の向きを矢印で書いていく作業をまんべんなく繰り返していくと、ちょうど正電荷から四方八方に飛び出す方向に線が出ていきます。この線を「電気力線(でんきりきせん)」と呼びます。ここで、電気力線を書くために試しに置いた\(+1C\)を「試験電荷」と呼びます。

 電気力線は、ちょうど中2で勉強した磁力線と同じような考えを使っています。電気力線の向きは、その点での電場の向きを表していて、電気力線がぎゅうぎゅうに詰まっているところは電場が強く、電気力線がスカスカなところは電場が弱いということを表しています。

 

▼電気力線

 定義:電場の各点で試験電荷が受ける力の向き

 向き:+から-

 間隔:狭いほど電場が強く、広いほど電場が弱い

 

 

電場の大きさ

 電気力線を書いてみると、どの辺が電場が強い所で、どの辺が弱い所かという大体のことはわかります。ただ、理系として、専門的な物理で知りたいのはそんな中途半端な情報じゃないんですよ。具体的にいくらかっていうのを数字で知りたいわけです。何とかしてその方法を編み出さないといけないのですが、ちゃんと先人は法則を作ってくれていました。

 

 電場の大きさは、電場中のある位置に試験電荷(\(+1C\))を置いたとき、その試験電荷が受けるクーロン力だというルールにして、「\(E\)」で表すことにします。なので、試験電荷ではなく一般的に\(q[C]\)を置いたとすると、クーロン力の大きさは、試験電荷を置くときよりも\(q\)倍の力を受けますから、\(F=qE\)と表すことができます。

 

 これは電磁気分野ですごくすごく大事な公式の1つです。力学でいうところの\(F=mg\)に相当するくらい重要な公式なので、知ってたら点数が取れるか、というようなレベルじゃなくて、知らなかったら何も解けない、というぐらい重要な式です。知ってて当たり前な式です。

 

▼一様な電場から受けるクーロン力

 \(F= qE [N]\)

 

\(q[C]\) 電荷

\(E[N/C]\) 電場

 

 

点電荷のまわりの電場

 電場\(E\)の具体的な中身について考えてみます。ある電荷\(q\)の近くに試験電荷\(+1C\)を置いたときにうけるクーロン力の大きさが電場の大きさを表しているので、実際にそのままクーロンの法則に代入してしまうと、あっさり電場\(E\)の中身は求まります。

 

 クーロンの法則は、\(F=k_0 \displaystyle\frac{q_1 q_2}{r^2}\)で表されるので、\(q_1\)はただの\(q\)にしてしまって、\(q_2\)は\(+1\)とします。すると\(F=k_0 \displaystyle\frac{q}{r^2}\)となります。このときの\(F\)を電場の大きさだと約束したので、\(F\)の代わりに\(E\)で書くことにして、\(E=k_0 \displaystyle\frac{q}{r^2}\)とします。これが電場\(E\)の具体的な中身です。

 

 だから、公式として頑張って覚えなくても、クーロンの法則さえ覚えていれば自分で作ることもできます。まあ、やっていくうちに覚える公式ですから、覚えるか作るかはお任せします。

 

▼点電荷が作る電場の式

 \(E=k_0 \displaystyle\frac{q}{r^2}[N/C]\)

 

重力場と電場との類似

 さあここまでの公式を振り返ってみると、どうやら力学の公式と同じようなことを電気分野で考えてるのに過ぎない、ということがうっすら見えてきます。静電気力\(F\)は\(F=qE\)で表すのに対して、重力は\(F=mg\)で表します。電場\(E\)の中身は、\(E=k_0 \displaystyle\frac{q}{r^2}\)と書きましたが、重力加速度の中身も万有引力の単元で\(g=\displaystyle\frac{GM}{r^2}\)と書けることを勉強しています。

 

 こんな風に、重力場と電場とには類似性があります。このあと、エネルギーの話にも触れていくことになりますが、そこでも重力場と電場とには類似性が見られるので、自分の中で上手に納得して、まとめて覚えられるようになるといいですね。