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2001阪大Ⅰ

■解答

問1 \(l_1=l_0-\displaystyle\frac{mg}{k}\)  問2 \(\displaystyle\frac{m^2g^2}{2k}\)  問3 \(2mg\)

問4 \(ma=mg-k(l-l_0)\)  問5 \(N=mg-k(l-l_0)\)  問6 \(l_2=l_0+\displaystyle\frac{mg}{k}\)

問7 \(W=\displaystyle\frac{4m^2g^2}{k}\)  問8 \(\Delta V_A=\displaystyle\frac{2m^2g^2}{k}\)  問9 \(\Delta V =0\)

問10 \(\displaystyle\frac{1}{2}mv_0^2+\Delta V_A+\Delta V=W\)

■解説

問1

ばねの伸びが\(l_0-l_1\)になるので、力のつりあいの式から

 \(mg=k(l_0-l_1)\)

 

 \(l_1=l_0-\displaystyle\frac{mg}{k}\)

 

問2

同様に、弾性エネルギーは

 \(U=\displaystyle\frac{1}{2}kx^2\) より

 

 \(U=\displaystyle\frac{1}{2}k(l_0-l_1)^2\)

 

ここで問1から、\(l_0-l_1)=\displaystyle\frac{mg}{k}\)なので、

 

 \(U=\displaystyle\frac{m^2g^2}{2k}\)

 

問3

この系を一体とみなすと、床に\(2mg\)の重さが乗っているだけということになります。

弾性力は内力として打ち消し合いますね。

なので、\(N=2mg\)

 

 

問4

ばねの長さが自然長より長いか短いかで結果が変わりそうな気もします。そこで両方とも運動方程式を立ててみることにします。

 

(1) \(l>l_0\)の場合

 \(ma=2mg-k(l-l_0)-mg\)

(2) \(l<l_0\)の場合

 \(ma=2mg+k(l_0-l)-mg\)

 

となり、どちらも

 \(ma=mg-k(l-l_0)\)

に変形されます。なので結果論として、場合分けは必要なさそうです。

 

 

問5

こちらも問4と同様、場合分けの必要がなく、ばねの長さが\(l-l_0\)であるとして考えます。

\(l>l_0\)の場合は正、\(l<l_0\)の場合は負の量となります。

これを使ってつり合いの式を立てると、

 \(N=mg-k(l-l_0)\)

 \(N=mg+(l_0-l)\)

となりますね。

 

 

問6

\(N=0\)のとき、\(l=l_2\)とすると

 \(mg=k(l_2-l_0)\)

 

 \(l_2-l_0=\displaystyle\frac{mg}{k}\)

 

 \(l_2=l_0+\displaystyle\frac{mg}{k}\)

 

 

問7

加えている力がした仕事と、物体がされた仕事とを混同しないでください。ここではシンプルに、\(2mg\)の力がした仕事だけを問われていますので、

 \(W=F・x\) より

 \(W=2mg(l_2-l_1)\)

となります。

 \(l_2\)と\(l_1\)は、それぞれ前問までで求まっていますので、

 

 \(W=2mg\left[\left(l_0+\displaystyle\frac{mg}{k}\right)-\left(l_0-\displaystyle\frac{mg}{k}\right)\right]\)

 

 \(W=2mg・\displaystyle\frac{2mg}{k}\)

 

 \(W=\displaystyle\frac{4m^2g^2}{k}\)

 

 

問8

位置エネルギーの差のみを答える問題ですので、弾性力の大きさが次第に変化することや、それによって加速度も変化しますが、物体Aの運動エネルギーは考えませんので、シンプルに考えます。

 \(\Delta V_A=mgh\) より

 \(\Delta V_A=mg(l_2-l_1)^2\)

 

\(l_2-l_1\)の部分は問7の計算結果を借りてくるのが早いですね。

 

 \(\Delta V_A=\displaystyle\frac{2m^2g^2}{k}\)

 

 

問9

最初に持っていた弾性エネルギーと、動き始めるときに持っている弾性エネルギーをそれぞれ計算し、その差を求める問題です。

 \(\Delta V=\displaystyle\frac{1}{2}k(l_2-l_0)^2-\frac{1}{2}k(l_0-l_1)^2\)

 

 \(\Delta V=\displaystyle\frac{1}{2}k・\left(\frac{mg}{k}\right)^2-\frac{1}{2}k\left[l_0-\left(l_0-\frac{mg}{k}\right)\right]^2\)

 

 \(\Delta V=\displaystyle\frac{m^2g^2}{2k}-\frac{1}{2}k・\frac{m^2g^2}{k^2}\)

 

 \(\Delta V=\displaystyle\frac{m^2g^2}{2k}-\frac{m^2g^2}{2k}\)

 

 \(\Delta V=0\)

 

となりました。計算結果が出てから改めて考えると、最初の縮みと、持ち上がったときの伸びは対称性から同じ長さになるはずですので、当然ゼロということになりますね。

 

 

問10

物体を一定の力で引き上げると、物体Aは等加速度ではない運動で加速していきながら運動エネルギーを持ちます。物体Bが床についている間の時間だけ考えますので、物体Bの運動エネルギーはありません。

また、物体Aが持ち上がりますので、物体Aの位置エネルギーも増加します。さらに、ばねの長さが変わりますので、加えている力はその変化分にもいくらかの仕事をしていることになります。

以上を数式でまとめると、

 

 \(W=\Delta V_A+\Delta V+\displaystyle\frac{1}{2}mv_0^2\)

 

となります。

\(\Delta V=0\)は不要なんじゃないかと思いたいですが、これは、物体Bが床から離れる瞬間までを考えた結果、たまたまゼロになったというだけで、持ち上げる過程のうち、どこか途中の点で考えるときにはゼロにはなりませんので、数式から除外することはできません。